ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年7月7日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、実務において非常に質問が多い「給与等とされる経済的利益の評価」、その中でも特に「食事の支給」についての取扱いを確認していきたいと思います。



食事の支給ですか。社員食堂やお弁当の支給などですね。あれって給与として所得税が課税されるのでしょうか?



原則としては現物給与として課税対象となります。しかし、福利厚生的な側面もあるため、一定の要件を満たすことで経済的利益はないものとして課税されない特例が設けられているのです。



そうなんですね!どのように食事の価額を評価して、どのような条件を満たせば非課税になるのか、詳しく教えてください。



承知いたしました。それでは、食事の評価方法から非課税となるための要件、さらには残業時の例外的な取扱いまで、確認していきましょう。



Part1についてはこちらの記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】所得税実務における給与等とされる経済的利益の評価Part1(有価証券・保険契約等の権利)
食事の評価方法(原則的な取扱い)
使用者が調理して支給する場合と購入して支給する場合
役員や使用人に対して食事が支給された場合、その食事による経済的利益の価額は、取得又は享受の時における価額、すなわち時価により評価するのが所得税法上の原則です。しかし、実務上、すべての食事の時価を厳密に算定することは困難を伴います。そこで、所得税基本通達36-38では、食事の支給方法に応じて次のように評価額を定めています。
使用者が調理して支給する食事
使用者の食堂施設などで調理して支給する食事については、その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額により評価します。本来であれば、水道光熱費や人件費等の間接費も含めて評価すべきところですが、これらを正確に計算することは極めて困難です。そのため、材料等の記録と在庫管理によって比較的容易に計算できる直接費相当額のみを評価額とする実務的な配慮がなされています。
使用者が購入して支給する食事
仕出し弁当や飲食店等から取り寄せて支給する食事については、その購入価額が時価そのものであると考えられるため、その購入価額に相当する金額により評価します。



原則は時価評価ですが、自社調理の場合は材料費のみで評価できるというのは実務上非常に重要なポイントです。ただし、仕出し弁当などを購入して支給する場合には、購入価額の全額が評価額となるため、自社調理の場合と比べて評価額が高くなりやすい点に留意してください。
食事の支給による経済的利益はないものとする場合(特例)
非課税となるための2つの要件
使用者が役員や使用人に食事を支給する場合、その支給には福利厚生的な性格があることを考慮し、所得税基本通達36-38の2において、経済的利益はないものとして取り扱う(非課税とする)ための特例が設けられています。具体的には、次の2つの要件を同時に満たす必要があります。
| 要件の概要 | 詳細な内容 |
|---|---|
| 1. 役員又は使用人の負担割合 | 支給した食事につき役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、基本通達36-38により評価した食事の価額の50パーセント相当額以上であること |
| 2. 使用者の負担上限額 | 食事の価額から実際に徴収している対価の額を控除した残額(使用者の負担額)が、月額7,500円以下であること |
なお、この限度額である月額7,500円を超えるかどうかを判定する際の食事の価額は、消費税及び地方消費税の額を除いた金額(税抜金額)により判定することとされています。
具体的な計算例と実務上の注意点
この特例の適用について、1ヶ月に支給した食事の価額が14,000円の場合と16,000円の場合とで比較して解説します。
食事の価額が1ヶ月あたり14,000円の場合、役員又は使用人が支払う食事代を半額の7,000円以上に設定すれば、使用者の負担額は7,500円以下となります。この場合は、負担割合50パーセント以上、かつ使用者負担月額7,500円以下の両方の要件を満たすため、課税されません。
一方で、食事の価額が1ヶ月あたり16,000円の場合、役員又は使用人が支払う食事代を半額の8,000円に設定したとします。この場合、負担割合は50パーセントを満たしますが、使用者の負担額が8,000円となり、月額7,500円以下の要件を満たすことができません。月額7,500円以下の要件を満たすためには、役員又は使用人から8,500円以上の対価を徴収しなければならないことになります。



ここで実務上もっとも間違いやすい点をお伝えします。もし使用者の負担額が月額7,500円を超えてしまった場合、7,500円を超過した部分の金額だけが課税されるわけではありません。要件を満たさなかったことになり、使用者が負担した全額が給与として課税されることになります。先ほどの食事の価額16,000円、使用者負担8,000円の例であれば、全額の8,000円について課税される点にくれぐれも注意してください。
残業又は宿日直をした者に支給する食事(例外的な取扱い)
実費弁償的な食事の非課税
通常の勤務時間内の食事ではなく、残業や宿日直を行った者に対する食事の支給については、別途の取扱いが定められています。所得税基本通達36-24によれば、使用者が残業又は宿直若しくは日直をした者に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えないとされています。ただし、この取扱いは、その者の通常の勤務時間外における勤務として行われた残業や宿日直等に限られます。
例えば、朝9時から17時までを正規の勤務時間とする者が、21時まで時間外勤務をした場合に支給を受ける夕食や、宿日直勤務をした場合に支給を受ける夕食及び朝食は、これらの勤務に伴う実費弁償的なものであるという性質を考慮し、非課税とされています。



なお、宿直又は日直に伴い食事が無料で支給される場合、その食事自体については所得税基本通達36-24により課税しなくて差し支えない取扱いとされています。一方で、宿直料又は日直料として金銭を支給する場合には、所得税基本通達28-1の4,000円限度額の判定上、4,000円からその食事の価額を控除した残額までが、宿直料又は日直料として非課税となる金額となります。
まとめ
本日は、所得税実務における給与等とされる経済的利益のうち、食事の評価と非課税要件について解説いたしました。
食事の評価は、自社調理であれば直接費、外部からの購入であれば購入価額で行うのが原則です。その上で、役員や使用人が食事価額の50パーセント以上を負担し、かつ、使用者の負担額が税抜で月額7,500円以下である場合には、食事の支給による経済的利益はないものとして給与課税されません。
ただし、使用者負担額が月額7,500円を超えた場合は、超過分ではなく使用者負担の全額が課税対象となる点には厳重な注意が必要です。また、残業や宿日直に伴う食事は実費弁償的なものとして非課税となる例外も存在します。



食事の支給は多くの企業で取り入れられている身近な福利厚生ですが、従業員から徴収する金額の設定を誤ると、後々の税務調査で源泉所得税の徴収漏れを指摘されるリスクがあります。実務にあたっては、評価額の算定と負担要件の確認を毎月確実に行ってください。



-300x169.jpg)






コメント