ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月13日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、組織再編があった場合の消費税の納税義務の判定についてです。法人が合併や会社分割などを行った際に、消費税の納税義務がどのように決まるのかについて、確認していきたいと思います。



消費税の納税義務というと、原則として基準期間の課税売上高が1000万円を超えているかどうかで判定するのですよね。組織再編があると、それだけでは済まないということでしょうか?



その通りです。合併や分割によって事業を引き継いだ場合、新設された法人や存続する法人自身の基準期間の売上高がゼロ、あるいは1000万円以下であっても、引き継がれた事業の規模を考慮して納税義務を判定する特例が設けられています。実務上も非常に重要かつ複雑な論点ですので、一つずつじっくりと紐解いていきましょう。
消費税の納税義務の判定の原則と特例の趣旨
消費税法において、事業者は原則として、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下である場合には、消費税を納める義務が免除されます。法人の場合、基準期間とは原則としてその事業年度の前々事業年度を指します。
しかし、法人が合併や分割といった組織再編を行った場合、新設された法人や事業を承継した法人は、自身の基準期間の課税売上高が1000万円以下であったとしても、実質的には大規模な事業を営んでいるケースがあります。そこで消費税法では、被合併法人や分割法人の基準期間に対応する期間における課税売上高を加味して納税義務を判定する特例を設けています。
合併があった場合の消費税の納税義務の免除の特例
合併により被合併法人の事業を承継した合併法人については、吸収合併と新設合併とでそれぞれ判定のルールが定められています。
吸収合併の場合の取扱い
吸収合併があった場合、合併法人の納税義務は以下のように判定されます。
第一に、合併があった日の属する事業年度の判定です。合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、被合併法人のその事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高が1000万円を超えるときは、その合併があった日からその事業年度終了の日までの間、課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務は免除されません。被合併法人が2以上ある場合には、いずれかの被合併法人に係る金額が1000万円を超えていれば該当します。
第二に、合併があった日の属する事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度の判定です。
これらの事業年度において、合併法人の基準期間における課税売上高と、各被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超えるときは、その事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務は免除されません。
新設合併の場合の取扱い
新設合併により設立された法人の場合、次のように判定されます。
第一に、設立の日の属する事業年度の判定です。被合併法人のいずれかの、新設合併法人の設立の日の属する事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高が1000万円を超えるときは、設立事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務は免除されません。
第二に、設立の日の属する事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度の判定です。
これらの事業年度において、新設合併法人の基準期間における課税売上高と、各被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超えるときは、その事業年度の納税義務は免除されません。
実務上の注意点:合併の日とは
消費税法に規定する合併があった日とは、吸収合併の場合は合併の効力を生ずる日をいい、新設合併の場合は法人の設立の登記をした日をいいます。旧商法下では合併登記の日とされていましたが、会社法との整合性を図るため、吸収合併にあっては効力発生日、新設合併にあっては新設合併設立法人の設立登記の日とされています。
【具体例】合併があった場合の判定方法
通達に基づく具体例として、吸収合併があった場合の判定を整理します。
| 合併の種類 | 判定する事業年度 | 判定の基礎となる課税売上高 | 納税義務の有無 |
|---|---|---|---|
| 吸収合併 | 合併のあった日の属する事業年度 | 被合併法人の基準期間に対応する期間の課税売上高のいずれかが1000万円超 | 合併の日から事業年度末日まで免除されない |
| 吸収合併 | 合併事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度 | 合併法人の基準期間の課税売上高 + 被合併法人の基準期間に対応する期間の課税売上高の合計額が1000万円超 | 当該事業年度を通じて免除されない |



合併があった場合の特例においては、単に合併法人の基準期間における課税売上高だけで判定するのではなく、被合併法人の基準期間に対応する期間の課税売上高と合算して判定することが最大のポイントです。なお、基準期間や特定期間の判定だけを見れば免税事業者となるように見える場合であっても、合併の特例により納税義務が免除されないケースがあります。
分割等があった場合の消費税の納税義務の免除の特例
会社分割等の組織再編が行われた場合にも、合併と同様に納税義務の免除に関する特例が設けられています。消費税法上の「分割等」とは、新設分割のほか、法人が新たな法人を設立するため金銭以外の資産を出資し、その設立時に当該新法人の発行済株式又は出資の全部を有することとなる場合や、金銭出資により設立した新法人に対し、会社法467条1項5号に掲げる行為に係る契約に基づき金銭以外の資産を譲渡する一定の場合などをいいます。
新設分割等により設立された法人等の取扱い
分割等により設立された法人(新設分割子法人)の納税義務は、次のように判定されます。
第一に、分割等があった日の属する事業年度については、新設分割親法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高が1000万円を超えるときは、分割等があった日から事業年度終了の日までの間、納税義務は免除されません。
第二に、分割等があった日の属する事業年度の翌事業年度については、新設分割親法人の当該新設分割子法人の基準期間に対応する期間における課税売上高として計算した金額が1,000万円を超えるときは、その事業年度の納税義務は免除されません。
第三に、分割等があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後については、分割等が新設分割親法人が1社だけの場合に限り、当該事業年度の基準期間の末日において新設分割子法人が特定要件に該当し、かつ、新設分割子法人の基準期間における課税売上高と新設分割親法人の対応期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超えるときは、納税義務が免除されません。
さらに例外的な取扱いとして、新設分割子法人の当該事業年度の基準期間の末日において特定要件に該当する場合、新設分割子法人の基準期間における課税売上高と新設分割親法人の基準期間に対応する期間における課税売上高との合計額が1000万円を超えるときは、納税義務は免除されません。特定要件とは、新設分割子法人の発行済株式の50%超が新設分割親法人及び特殊関係者の所有に属する場合などを指します。
新設分割親法人の取扱い
なお、新設分割親法人については、分割等があった日の属する事業年度及びその翌事業年度は、原則として新設分割親法人自身の基準期間における課税売上高により納税義務を判定します。
これに対し、分割等があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後については、当該事業年度の基準期間の末日において新設分割子法人が特定要件に該当し、かつ、新設分割親法人の基準期間における課税売上高と、新設分割子法人の対応期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合には、新設分割親法人の納税義務は免除されません。
吸収分割に係る分割承継法人の取扱い
吸収分割があった場合、事業を承継した分割承継法人の納税義務は次のように判定されます。
第一に、吸収分割があった日の属する事業年度については、分割法人の基準期間に対応する期間における課税売上高が1000万円を超えるときは、吸収分割があった日から事業年度終了の日までの間、納税義務は免除されません。
第二に、吸収分割があった日の属する事業年度の翌事業年度については、分割法人の当該分割承継法人の基準期間に対応する期間における課税売上高として計算した金額が1,000万円を超えるときは、その事業年度の納税義務は免除されません。
ただし、吸収分割があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後については、分割承継法人・分割法人ともに、原則としてそれぞれ自己の基準期間における課税売上高により判定します。
実務上の注意点:分割等があった日とは
消費税法に規定する分割等があった日とは、新設分割や現物出資(金銭以外の資産の出資)による設立の場合は「新設分割子法人の設立の登記の日」となります。一方で、事後設立(金銭出資により法人を設立した後に、契約に基づき金銭以外の資産の譲渡を行う手法)に該当する場合は、「その契約に基づく金銭以外の資産の譲渡が行われた日」となります。吸収分割があった日は、会社法上の吸収分割の効力を生ずる日をいいます。
| 組織再編の種類 | 納税義務の判定対象法人 | 判定の基礎となる課税売上高(翌事業年度以降の原則) |
|---|---|---|
| 新設分割等 | 新設分割子法人 | 新設分割親法人の基準期間に対応する期間の課税売上高 |
| 吸収分割 | 分割承継法人 | 分割法人の基準期間に対応する期間の課税売上高 |



会社分割等においては、合併の場合と異なり、常に相手方法人の課税売上高を加算して判定するわけではありません。
分割等があった日の属する事業年度及びその翌事業年度については、主として新設分割親法人又は分割法人の対応期間における課税売上高が1,000万円を超えるかどうかにより判定します。
一方、分割等があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後については、一定の場合に限り、特定要件の該当性と親子双方の課税売上高の合計額により判定する規定が設けられています。
基準期間がない法人の消費税の納税義務の免除の特例との関係
これまで解説した合併や分割による特例のほか、基準期間がない法人についても納税義務を免除しない特例があります。
新設法人の特例として、その事業年度の基準期間がない法人のうち、設立時の資本金の額または出資の金額が1000万円以上である場合には、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間における納税義務は免除されません。
また、特定新規設立法人の特例として、資本金1000万円未満で設立された場合であっても、設立の日において特定要件(他の者によって株式の50%超を支配されている等)に該当し、かつ、支配している他の者等の基準期間に相当する期間における課税売上高が5億円を超えるような場合には、特定新規設立法人に該当し、その基準期間がない事業年度の納税義務は免除されません。



新たに設立された法人の場合、合併や分割の特例だけでなく、新設法人の特例や特定新規設立法人の特例の対象とならないかどうかも併せて確認する必要があります。例えば、分割等により設立された法人であっても、資本金が1000万円以上であれば新設法人の特例の適用対象となります。それぞれの規定が重なり合うケースもありますから、どの規定によって納税義務が判定されるのか、法第11条や第12条などの要件に一つずつ当てはめて判断することが実務上の鉄則です。
まとめ
本記事では、法人が組織再編(合併・分割等)を行った場合の消費税の納税義務の判定について、原則的な取扱いと特例規定、および実務上の注意点を解説しました。
組織再編があった場合、形式的には新設法人や存続法人の基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、被合併法人や分割法人の売上高を引き継ぐことによって納税義務が免除されない特例が詳細に設けられています。
また、適用のタイミングとなる合併等の日の判断や、資本関係に応じた特定要件の判定など、法令や通達を正確に読み解くことが不可欠です。



複数の特例制度が複雑に絡み合う領域でもありますので、組織再編を検討される際は、消費税の申告や判定に誤りが生じないよう、事前に専門家へのご相談を強くお勧めいたします。










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