ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月10日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、法人税実務において極めて重要な『特定同族会社の範囲と判定』についてです。



特定同族会社ですね。昨日まで勉強していた通常の同族会社とは何が違うのでしょうか。留保金課税の話で聞いたことがあるような気がします。



その通りです。一定の要件を満たす同族会社は『特定同族会社』と呼ばれ、通常の法人税に加えて、利益の留保部分に対して特別税率による課税、いわゆる留保金課税が行われます。今日はこの特定同族会社がどのような範囲で定められ、どう判定されるのかを徹底的に掘り下げて確認していきたいと思います。



同族会社の範囲についてはこちらの記事で解説しております。
【町田市の税理士が解説】同族会社の範囲と判定基準について!実務で迷わないための完全ガイド
1. 特定同族会社の基本的な定義と留保金課税
特定同族会社とは何か
法人税法上、特定同族会社とは、一言で言えば「被支配会社」のうち一定の要件を満たす法人のことを指します。 被支配会社とは、会社の株主等の1人、並びにその株主等と特殊の関係のある個人及び法人が、その会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合などをいいます。 特殊の関係のある個人には、株主等の親族、事実上婚姻関係と同様の事情にある者、使用人、株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者、及びこれらの者と生計を一にする親族が含まれます。 つまり、1つの株主グループによって過半数の株式が握られている状態の法人が被支配会社となります。
留保金課税の対象と税率
この特定同族会社に該当すると、各事業年度の留保金額が「留保控除額」を超える場合、通常の法人税額に加えて、その超える部分の留保金額に対して特別税率による法人税が加算して課税されます。 税率は、年3,000万円以下の金額に対しては100分の10、年3,000万円を超え年1億円以下の金額に対しては100分の15、年1億円を超える金額に対しては100分の20と定められています。
| 留保金額(留保控除額を超える部分) | 特別税率 |
|---|---|
| 年3,000万円以下の部分 | 10% |
| 年3,000万円を超え年1億円以下の部分 | 15% |
| 年1億円を超える部分 | 20% |



特定同族会社の判定は、毎期の法人税申告において留保金課税の要否を決定する非常に重要な作業です。株主構成が変わっていなくても、親族関係の変化などで特殊の関係のある者の範囲が変わり、気づかないうちに該当してしまうこともあるため、定期的な確認が欠かせません。
2. 資本金基準に基づく特例と大法人による完全支配関係
資本金1億円以下の法人の取扱い
原則として、特定同族会社に対しては特別税率が適用されますが、特例として、事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が1億円以下である法人については、特定同族会社の特別税率の適用から除外されます。 これにより、一般的な中小企業は原則として留保金課税の対象外となる仕組みになっています。
大法人による完全支配関係がある場合の例外的な取扱い
ただし、資本金1億円以下であっても、法人税法66条5項2号から5号までに掲げる法人又は同条6項の大通算法人に該当する場合には、留保金課税の対象となる特定同族会社に該当し得ます。
例えば、資本金5億円以上の大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人については、資本金1億円以下であっても対象となり得ます。この完全支配関係には、大法人が直接100%保有している場合だけでなく、中間法人を通じて間接に100%保有している場合も含まれます。
このような資本金1億円以下の法人は、中小企業向けの特例から除外されるため、留保金課税の対象となります。



資本金1億円以下だから留保金課税は関係ないと安心していると、親会社が資本金5億円以上の大法人であった場合に思わぬ課税漏れを引き起こす危険があります。グループ全体の資本関係を俯瞰して判定することが実務上の重要なポイントです。
3. 被支配会社でない法人が介在する場合の判定
判定の基礎からの除外ルール
特定同族会社とは、被支配会社のうち、その被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のなかに「被支配会社でない法人」が含まれている場合には、その被支配会社でない法人を判定の基礎から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるものをいいます、。
基本通達に基づく具体的な範囲
法人税基本通達によると、この「被支配会社でない法人」には、当該被支配会社でない法人の子会社や孫会社等で、被支配会社でない法人がその判定の基礎となる株主等に選定したために被支配会社となるものも含まれます。 したがって、被支配会社でない法人又はこれに連なる直接・間接の被支配会社を、判定の基礎となった株主等から除外して再判定した結果、なお1株主グループによる50%超支配に該当しない場合には、法人税法67条1項にいう特定同族会社には該当しないことになります。



この除外ルールの規定は、実質的に個人等による支配を受けていない、いわゆる公開会社などの傘下にある法人を留保金課税の対象から外すためのものです。株主グループの連鎖をたどって、実質的な支配者が誰なのかを見極めることが求められます。
4. 同族会社の判定基準の準用と議決権等の取扱い
議決権等による判定
特定同族会社の被支配会社に該当するかどうかの判定にあたっては、同族会社の判定に関する法人税基本通達の取扱いを準用します。 平成18年度の税制改正により、株式の数や出資の金額による判定のほか、議決権の数や持分会社の社員の数による判定が追加されています。 たとえ株式の数や金額の割合で50%以下であっても、議決権制限株式を発行している場合や、子会社の有する親会社株式など議決権を行使することができない株主等がいる場合には、議決権の数による判定を行う必要があります。
同一内容の議決権行使の合意がある場合
法人税法施行令139条の7第6項では、個人又は法人との間で、その個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合には、その者が有する議決権は当該個人又は法人が有するものとみなして判定することとされています。
もっとも、法人税基本通達1-3-7は、単に過去の株主総会で同一内容の議決権行使をしていたことや、出資・人事・資金・技術・取引等において緊密な関係があることのみでは、直ちに同一内容の議決権行使に同意している者にはならないとしています。
これに該当するかどうかは、契約や合意等により、意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している事実があるかどうかにより判定されます。 先述の通り、単に過去の株主総会等において同一内容の議決権行使を行ってきた事実があることや、出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることのみをもって、直ちに同一内容の議決権を行使することに同意している者とはなりません、。 具体的には、組合契約等における合意、信託行為における合意、相互に持ち合っている場合のお互いの意に沿う行使の合意、継続的に白紙委任状を提出しているときなどが該当すると考えられています。
相互に株式を持ち合っている場合の留保金課税
なお、被支配会社である法人が他の法人と相互に株式又は出資を持ち合っており、その相手法人を被支配会社の判定の基礎となる株主等に含めて判定する場合には、法人税基本通達16-1-3に注意が必要です。
同通達は、判定法人と相手法人の双方について、それぞれ相手法人以外の「被支配会社でない法人」を除外して判定しても被支配会社となる場合には、特定同族会社の特別税率の規定を適用する旨を定めています。



実務では、名義上の株式割合だけでなく、議決権制限株式の有無、議決権行使の合意、さらには株式の持合い状況といった実質的な支配関係まで深く調査しなければなりません。名義株についても、株主名簿の記載にかかわらず、真にその株式を所有している者で判定するという基本を忘れないでください。
まとめ
特定同族会社の判定は、法人税額に多大な影響を及ぼす留保金課税の適用を決定づける重要なプロセスです。 法令に基づく被支配会社の定義を出発点とし、大法人による完全支配関係の有無による資本金基準の特例の確認、そして被支配会社でない法人が介在する場合の除外ルールの適用を順序立てて行う必要があります。



また、議決権割合や議決権行使の合意、相互の株式の持合いといった実質的な支配関係を見落とさないよう、通達に示された具体的な判定基準を実務に正しく落とし込むことが大切です。










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