ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月9日のテーマはなんでしょうか?



昨日、同族会社の範囲について、取り上げましたので、今朝は「同族会社に該当する場合、不利になる(注意すべき)法人税法における規定」について確認していきたいと思います。



昨日勉強した同族会社ですか。日本の多くの中小企業は同族会社だと聞きますが、税務上で不利になるようなことがあるのでしょうか?



その通りです。同族会社は経営者と株主が一致していることが多いため、税金を不当に減らすような恣意的な取引が行われやすい側面があります。そのため、法人税法では同族会社に対して厳格な制限や不利となる特例規定をいくつか設けているのです。



なるほど!知らずに経営していると、後で痛い目を見そうですね。ぜひ詳しく教えてください。



もちろんです。それでは、同族会社の定義(昨日のおさらい)から、行為計算の否認、留保金課税、そして役員給与に関する注意点に至るまで、法令や通達に基づいて整理していきたいと思います。
同族会社の定義と判定の基礎(昨日のおさらい)
法人税法における不利な規定を理解するためには、まず「同族会社」とは何かを正確に把握する必要があります。
法人税法上の「同族会社」とは、会社の株主等(その会社が自己の株式または出資を有する場合のその会社を除きます)の3人以下、ならびにこれらと政令で定める「特殊の関係のある個人及び法人」が、その会社の発行済株式または出資(自己株式等を除きます)の総数または総額の50%超(100分の50を超える数または金額)の株式または出資を有する場合等におけるその会社をいいます。
判定の基礎となる「特殊の関係のある個人」の範囲には、株主等の親族、事実上婚姻関係と同様の事情にある者(いわゆる内縁の配偶者)、株主等の使用人、株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者、およびこれらの者と生計を一にする親族が含まれます。法人税基本通達1-3-4によれば、「生計を一にする」とは、有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいうため、必ずしも同居していることまでは要件とされていません。
したがって、経営者である社長1人とその親族だけで株式の過半数を握っているような一般的な中小企業は、ほぼ間違いなくこの同族会社に該当することになります。



同族会社の判定においては、内縁の配偶者や、直接の雇用関係がなくても社長からの仕送り等で生活の主要部分を賄っている愛人なども特殊関係者に含まれる点に注意が必要です。親族だけでなく、実質的に経済的なつながりが強い人も合算して持株割合を計算することになりますよ。



同族会社の範囲と判定基準について、詳しくはこちらのブログ記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】同族会社の範囲と判定基準について!実務で迷わないための完全ガイド
同族会社の行為又は計算の否認(法人税法第132条)
同族会社にとって最も包括的かつ注意すべき規定が、この「行為又は計算の否認」です。
原則的な取扱い
税務署長は、同族会社に係る法人税につき更正または決定をする場合において、その法人の「行為または計算」で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為または計算にかかわらず、税務署長が独自に認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準、欠損金額、または法人税の額を計算することができます。
これは、同族会社が株主と経営陣の一体性から、通常の第三者間取引では考えにくいような不自然な取引価格や契約条件を設定し、意図的に利益を圧縮して税負担を逃れようとする行為を防ぐための伝家の宝刀とも言える規定です。
例外と判定の時期
この規定に基づく同族会社に該当するかどうかの判定は、問題となる行為または計算の事実があった時の現況によって行われます。したがって、決算期末には同族会社を外れていたとしても、取引を実行した時点において同族会社であれば、否認規定の対象となります。



この規定は非常に強力です。例えば、社長個人の所有する不動産を法人に法外な高値で買い取らせたり、逆に法人の優良資産を社長へ無償同然で譲渡したりする行為は、この規定により否認され、適正な時価で行われたものとして法人税が課せられます。同族間取引は常に『第三者と取引した場合と同じ条件か』という客観的な視点を持つことが重要です。
特定同族会社の特別税率(留保金課税)(法人税法第67条)
同族会社が利益を社内に内部留保しすぎることで、株主(個人)への配当を意図的に遅らせ、個人の所得税負担を不当に回避することを防ぐための制度です。
原則的な取扱い
内国法人である「特定同族会社」の各事業年度の留保金額が、所定の「留保控除額」を超える場合には、通常の法人税額のほかに、その超える部分の留保金額に対して特別の税率による法人税が加算して課されます。 加算される特別税率は、以下の表の通り、段階的に高くなります。
| 超える部分の留保金額 | 適用の特別税率 |
|---|---|
| 年3,000万円以下の金額 | 10% |
| 年3,000万円を超え、年1億円以下の金額 | 15% |
| 年1億円を超える金額 | 20% |
ここでいう「特定同族会社」とは、同族会社のうち「被支配会社」であり、その判定の基礎となった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、その法人を判定の基礎から除外して判定してもなお被支配会社となるものをいいます。被支配会社とは、簡単に言えば特定の1人の株主グループによって50%超を支配されている会社のことです。
特例と適用除外
この制度には重要な特例(適用除外)があります。期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である中小法人には、原則としてこの留保金課税は適用されません。 しかし、資本金1億円以下であっても例外的な取扱いがあります。資本金が5億円以上である大法人などによる完全支配関係がある法人や、大通算法人(通算法人のうち資本金1億円超の法人など)に完全支配されている法人は、この特別税率の対象となります。
留保控除額の計算
留保控除額とは、次の3つの金額のうち最も多い金額をいいます。
- 当該事業年度の所得等の金額の40%に相当する金額
- 年2,000万円
- 当該事業年度終了の時における利益積立金額(当該事業年度の所得等の金額に係る部分を除く)が、その時における資本金の額等の25%に相当する金額に満たない場合における、その満たない部分の金額に相当する金額



多くの中小企業は資本金1億円以下であるため、この留保金課税を気にする必要はありません。しかし、親会社が資本金5億円以上の大企業である同族会社(100%子会社)などの場合は、自社の資本金が1億円以下であっても容赦なく適用されます。グループ構成を考える際には、この留保金課税のリスクを念頭に置く必要があります。
詳細については、明日以降のブログ記事で解説します。
役員給与に関する不利な規定と注意点(法人税法第34条等)
法人税法では、役員給与の損金算入(経費にすること)について厳格なルールを定めていますが、同族会社においてはさらに不利になる特例や注意点が存在します。
1. 業績連動給与の制限
利益の状況など法人の業績を示す指標を基礎として算定される「業績連動給与」を損金に算入するためには、厳しい要件を満たす必要があります。その要件の一つに、同族会社が業務執行役員に対して支給する業績連動給与については、原則として損金算入が認められないという規定があります。 ただし、例外的な取扱いとして、同族会社であっても「同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるもの」が支給する場合は、適正な手続きと開示を行えば損金算入の対象となり得ます。したがって、一般的なオーナー系中小同族会社では、業績連動給与を法人税法上損金算入することは、実務上かなり困難です。損金算入が問題となるのは、主として非同族会社である親法人との間に完全支配関係がある同族子会社などに限られます。
2. 業績悪化改定事由に関する厳格な運用(通達9-2-13)
定期同額給与(毎月定額の給与)は事業年度の途中で減額することが原則として認められませんが、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)」がある場合には、例外的に期中での減額改定が認められます。
法人税基本通達9-2-13によれば、業績等の悪化により役員給与の額を減額せざるを得ない場合とは、株主との関係、取引銀行との協調、取引先等の利害関係者からの信用維持の観点から計画が策定された場合などを指します。 しかし、同族会社についての具体例と注意喚起として、以下のように厳格に解説されています。 「同族会社のように株主が少数の者で占められ、かつ、役員の一部が株主である場合や株主と役員が親族関係にあるような会社についても、減額改定に該当するケースがないわけではありませんが、そのような場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があることに留意してください」。 つまり、外部の株主や銀行などの利害関係者がいない同族会社が、「ちょっと利益が出なさそうだから」と安易に役員報酬を期中に下げる行為は、利益操作とみなされ否認されるリスクが極めて高いということです。



同族会社における期中の役員報酬の減額は、税務調査で必ずと言っていいほど厳しくチェックされます。単なる資金繰りの調整や利益調整ではなく、経営危機に直面し、本当に減額せざるを得なかったという『客観的な証拠』(経営改善計画書や銀行からの要請記録など)を残しておくことが必須です。
使用人兼務役員になれないリスク(法人税法施行令第71条)
法人の役員であっても、部長や課長など使用人としての職制上の地位を有し、常時使用人としての職務に従事する者を「使用人兼務役員」と呼びます。使用人兼務役員に対する給与のうち、使用人としての職務に対する給与部分は、原則として他の使用人と同様に損金算入が認められます(不相当に高額な部分等を除く)。
原則的な取扱い
しかし、同族会社の役員については、会社の経営に対する支配力が強い特定の者は、たとえ使用人としての職務を行っていたとしても、税務上は「使用人兼務役員」として扱われません(法人税法第34条第6項、法人税法施行令第71条第1項第5号)。 使用人兼務役員とされない場合、その者に支給する給与や賞与はすべて「役員に対する給与」として扱われるため、定期同額給与や事前確定届出給与の要件を満たさない限り、全額が損金不算入となってしまいます。
使用人兼務役員とされない同族会社の役員の要件
法人税法施行令第71条第1項第5号によれば、同族会社の役員のうち、次の3つの要件の「全て」を満たしている者は、使用人兼務役員になれません。
| 判定の要件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 株主グループの持株要件 | 会社の株式等について、第1順位から第3順位までの株主グループの有する株式等の割合を順次合算したときに、初めて50%超になる場合におけるこれらの株主グループのいずれかに属していること |
| 2. 所属グループの持株要件 | その役員の属する株主グループの有する株式等の割合が10%を超えていること |
| 3. 本人等の持株要件 | その役員本人、その配偶者、及びこれらの者が50%超を所有する他の会社を含めた所有割合が5%を超えていること |
※持株割合の判定基準となる「株主グループ」には、本人だけでなく、法人税法第2条第10号に規定する特殊の関係のある個人および法人が含まれます。
つまり、同族会社において社長の配偶者や子供が取締役兼営業部長として働いている場合、この持株割合の基準に引っかかると、彼らに支給する使用人としての賞与(決算期末のボーナスなど)は全額損金不算入として課税されてしまうという非常に大きな不利益が生じます。



親族を取締役等の役員にしつつ、実務もこなしているからと従業員と同じタイミングで賞与を支給するケースは中小企業でよく見られます。しかし、事前の届出(事前確定届出給与)を行っていない限り、この『持株割合の基準』に該当すると賞与部分の経費化が否認されます。親族を役員に登用する際は、自社の株式保有割合を綿密にシミュレーションしておくことが不可欠です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、法人税法において同族会社が注意すべき不利な規定について解説しました。 同族会社は柔軟で迅速な意思決定ができる反面、税務署からは「お手盛り(恣意的な利益操作)」が行われやすい組織形態として常に厳しく監視されています。 「同族会社の行為計算の否認」という強力な規定が存在することに加え、特定の条件を満たすと課される「留保金課税」、さらに「業績連動給与の損金算入制限」や「役員給与の減額の厳格化」、そして親族役員の賞与を損金にできない「使用人兼務役員の制限」など、税務上のハードルが多く設定されています。



これらの制度を知らずに感覚で経営や給与決定を行ってしまうと、税務調査の際に多額の追徴課税を受けるリスクがあります。同族会社の経営においては、税務上のルールを正しく理解し、法令や通達に基づいた適正な手続きと客観的な証拠を残す経営を心がけましょう。分からないことがあれば、いつでも我々税理士にご相談ください。










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