ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月12日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、「特定同族会社の留保金課税の計算」についてです。実務においても非常に重要かつ間違いやすい論点ですので、確認していきましょう。



留保金課税ですね。同族会社が利益を配当せずに社内にため込んだ場合に、通常の法人税に上乗せして税金がかかる制度だったと記憶しています。



その通りです。少数株主による支配が行われている会社が、個人の所得税負担を回避するために意図的に配当を遅らせることを防ぐための制度です。本日はその対象法人の判定から、具体的な計算ステップ、そして基本通達に基づく細かい端数処理まで、確認していきたいと思います。



よろしくお願いいたします!実務で迷うことが多いので、具体例も交えて教えていただけると助かります。
特定同族会社の留保金課税の概要と適用対象
原則的な取扱い(特定同族会社の範囲)
留保金課税は、すべての会社に適用されるわけではありません。「特定同族会社」に該当する法人が対象となります。 特定同族会社とは、被支配会社(1人あるいは同族グループなどによって発行済株式等の50%超を保有されている会社など)のうち、その判定の基礎となった株主等から「被支配会社でない法人」を除外して判定しても、なお被支配会社となるものをいいます。 つまり、少数の個人や同族関係者によって支配されており、会社の意思決定、特に利益の分配(配当)に関する決定を少数の者で自在にコントロールできる会社が対象となります。
特例と例外的な取扱い(資本金基準による除外)
ただし、特定同族会社に該当しても、事業年度終了の時の資本金の額または出資金の額が1億円以下である法人については、原則として留保金課税は適用されません。 しかし、ここには例外的な取扱いがあります。資本金が1億円以下であっても、次に該当する場合は適用対象となります。
・資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人などによる完全支配関係がある法人の子会社
・大通算法人(大規模な法人が含まれる通算グループ内の法人)の通算子会社
実質的に大企業の支配下にある場合は、中小企業向けの特例を受けることができず、課税の対象となる点に注意が必要です。
通達に基づく被支配会社の判定の具体例
法人税基本通達16-1-1では、判定の基礎から除外される「被支配会社でない法人」について、その法人の子会社や孫会社等も除外対象として取り扱うことが明記されています。 また、取引関係等から法人間で相互に株式を持ち合っている循環的持ち合いのケースにおいても、他の法人を判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合に被支配会社となるのであれば、留保金課税の適用対象となる旨が示されています(法人税基本通達16-1-2)。



留保金課税の判定では、自社が特定同族会社に該当するかどうか、そして資本金1億円以下の特例を使えるかどうかの判定が第一関門となります。特に、親会社やグループ法人の資本金規模の変動を見落とすと、思わぬ課税を受けることがありますので、事業年度末における株主構成と資本関係を正確に把握するようにしてくださいね。
留保金額の計算ルール
留保金額の算定の流れ
留保金課税の対象となる「留保金額」は、会計上の当期純利益をそのまま用いるわけではありません。税務上の所得の金額をベースに、社外に流出していない利益を正確に算定するための調整を加えます。 具体的には、以下の計算式で求めます。
留保金額 = 所得等の金額 - 控除対象税額+ 前期末配当等の額 - 当期末配当等の額



ここで実務上絶対に忘れてはならないのが、「期末配当等の額」の加減算です。 期末配当等とは、事業年度終了の日の翌日から決算確定の日までの間に行われる剰余金の配当などで、その事業年度末を基準日とするものをいいます。 留保金課税はあくまで「社内にため込んだ利益」に対する課税です。したがって、決算の後に社外への流出が確定している当期の期末配当等の額は、当期の留保金額から差し引く(控除する)こととされています。 一方で、前期の期末配当等は、前期の留保金額からは差し引かれていますが、実際の配当の効力発生日(利益積立金が減少する日)は当期となります。そのため、当期の留保金額を計算する際には、前期末配当等の額を足し戻す(加算する)必要があるのです。
所得等の金額の計算(原則と例外)
「所得等の金額」は、当事業年度の所得の金額をスタートとし、本来は会社の財産を増加させているものの、法人税の計算上は益金不算入や損金算入とされた特定の項目を足し戻す(または差し引く)ことで計算します。
加算する項目(税務上は益金不算入等だが、会社に留保されているもの)
・受取配当等の益金不算入額(通算法人が他の通算法人から受ける配当等で政令で定めるものを除く)
・外国子会社から受ける配当等の益金不算入額
・受贈益の益金不算入額
・還付金等の益金不算入額
・繰越欠損金の損金算入額(会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入額を含む)など
減算する項目
・中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金額の益金算入額など
還付金等の確定時期に関する通達の具体例
所得等の金額に加算される還付金等について、どの事業年度の所得等の金額に含めるべきかが実務上問題となります。 法人税基本通達16-1-5によれば、還付金等の額はその額が「具体的に確定した日の属する事業年度」の所得等の金額に含めることとされています。中間申告によるものは中間申告書の提出日、確定申告によるものは確定申告書の提出日、更正によるものは更正のあった日が確定日となります。
控除対象税額の計算
所得等の金額から差し引くべき税額は、社外に流出する財産ですので、留保金額から除かれます。差し引く税額は以下の合計額です。
・当該事業年度の所得の金額につき計算された法人税の額
・地方法人税の額
・道府県民税および市町村民税の額(所得を課税標準とする部分について政令で定めるところにより計算した金額)



所得等の金額の計算では、税務上の所得に特定の益金不算入項目を加算するプロセスが漏れがちです。特に、法人税等や地方法人税、地方税の税額をどこまで控除できるかは、別表の構造と密接に関わってきます。還付金の算入時期についても、発生ベースではなく「確定した日」の事業年度に含めるという通達のルールを絶対に間違えないようにしてください。
留保控除額の計算と基準
留保控除額の3つの基準
計算された留保金額のすべてに課税されるわけではありません。会社の事業活動や将来の投資に必要な資金を留保できるよう、「留保控除額」という非課税枠が設けられています。 留保控除額は、次の3つの基準で計算した金額のうち、最も多い金額となります。
| 基準の名称 | 計算方法と解説 |
|---|---|
| 所得基準額 | 当該事業年度の所得等の金額の40%に相当する金額 |
| 定額基準額 | 年2,000万円(事業年度が1年に満たない場合は、2,000万円を12で除し、当該事業年度の月数を乗じて計算した金額) |
| 利益積立金基準額 | 当該事業年度終了の時における資本金の額または出資金の額の25%に相当する金額から、期末における利益積立金額(当該事業年度の所得等の金額に係る部分を除く)を差し引いた金額(満たない部分の金額) |
利益積立金基準額の特例と通達の具体例
利益積立金基準額の計算において、期末の利益積立金額の算定が実務上極めて重要です。 法人税基本通達16-1-6では、以下の2つのケースにより利益積立金額が減少した場合の特例的な取扱いが示されています。
1つ目は、法人が事業年度の中途で剰余金の配当(みなし配当を含みます)などを行った場合です。 2つ目は、前期以前の事業年度で損金の額に算入されなかった償却超過額、引当金、準備金の繰入超過額等を、当期において損金の額に算入した場合です。
これらの事由によって利益積立金額が減少した場合、その減少した金額(配当した金額や当期に損金算入した金額)は、法人税法67条5項3号の「当該事業年度の所得等の金額に係る部分の金額」に該当するものとして取り扱われます。つまり、期末時の利益積立金額は、これらの減少がなかったものとして(減少前の金額をベースに)計算することになります。これにより、適正な留保控除額を算定することができます。



留保控除額の計算では、3つの基準をすべて計算し、最も有利な(最も金額が大きい)ものを選択できる点がポイントです。設立間もない法人や資本金が増資された法人では利益積立金基準額が有利になることが多く、一方で安定した利益を出し続けている法人は定額基準額や所得基準額を用いることが一般的です。期末の利益積立金額の計算には通達の特例も絡むため、別表5(1)と連動させて正確に把握してくださいね。
課税留保金額と特別税率の適用
特別税率の段階的適用
留保金額から留保控除額を差し引いた金額を「課税留保金額」と呼びます。この課税留保金額に対して、通常の法人税率に上乗せして特別税率が適用されます。特別税率は、課税留保金額の大きさに応じて段階的に高くなる仕組みとなっています。
| 課税留保金額の区分 | 適用される特別税率 |
|---|---|
| 年3,000万円以下の部分の金額 | 10% |
| 年3,000万円を超え、年1億円以下の部分の金額 | 15% |
| 年1億円を超える部分の金額 | 20% |
事業年度が1年未満の場合の例外規定
事業年度が1年に満たない場合の税率適用の区分については、例外規定があります。各区分の基準となる金額(3,000万円および1億円)を、それぞれの金額を12で除し、当該事業年度の月数を乗じて計算した金額に置き換えて適用します。月数は暦に従って計算し、1月に満たない端数が生じたときは1月とします。
端数計算における通達の具体例
留保金課税を計算する際の端数処理については、法人税基本通達16-1-8において詳細な規定が設けられています。
- 課税の対象となる留保金額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。
- 事業年度の期間が1年に満たない場合において、年1億円や年3,000万円を月数按分した金額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。ただし、当該切り捨てられる端数の金額が(1)により切り捨てられる端数の金額よりも多いときは、これを切り上げます。
たとえば、月数按分した区分の基準額を計算する際など、非常に細かな計算が要求される部分です。



税率の適用自体は単純な掛け算ですが、1年未満の事業年度(設立第1期や決算期変更の事業年度など)における月数按分と、通達に基づく1,000円未満の端数処理は、実務において計算ミスが多発するポイントです。特に端数の切り上げ・切り捨ての判定は、申告書の別表3(1)を作成する際に必ず再確認するようにしてください。
まとめ
今回は、特定同族会社の留保金課税について、対象となる法人の判定から留保金額の算定、留保控除額の選択、そして特別税率の適用に至るまで、法令および通達の規定を網羅的に解説いたしました。 この制度は、資本金が1億円以下の法人には原則として適用されませんが、大法人による完全支配関係がある場合などには例外として適用されるため、グループ全体の資本関係の把握が欠かせません。 また、所得等の金額の算定や利益積立金額の特例、さらには事業年度が1年未満の際の細かな端数計算など、実務上迷いやすい論点が多岐にわたります。



形式的な計算にとどまらず、制度の趣旨を理解したうえで、別表作成時に矛盾がないか、通達の細かなルールに準拠しているかをしっかりと検証することが求められます。実務の現場で直面する複雑なケースにおいても、本日の解説を基本として確実な処理を行ってください。










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