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2026年6月24日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、所得税法第204条第1項第4号に規定されている「職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金」の源泉徴収について確認していきたいと思います。



野球選手ですか。テレビで活躍するようなプロスポーツ選手のことですよね。外交員やモデルなんかも同じ区分に含まれると聞いたことがあります。



おっしゃる通りです。しかし、職種によって源泉徴収の対象となる範囲や、税率を乗じる前に控除できる金額の特例が異なるなど、実務上注意すべき例外が存在します。今日は法令や基本通達を交えて、基礎から網羅的に確認していきましょう。



第1号、第2号及び第3号についてはこちらの記事で解説しておりますので宜しければご覧ください
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第1号「原稿等の報酬や料金」にかかる源泉徴収義務のすべて
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第2号に基づく弁護士等への報酬・料金に係る源泉徴収の実務
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第3号関係:診療報酬に関する源泉徴収義務
1. 所得税法第204条第1項第4号に規定される「報酬又は料金」の対象範囲
まずは、どのような職種の方々に対する支払いが、この条文に基づく源泉徴収の対象となるのか、原則的な取扱いを確認いたします。
所得税法第204条第1項第4号においては、居住者に対して国内で報酬や料金を支払う際、源泉徴収が必要となる対象として、職業野球の選手、職業拳闘家(ボクサー)、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人、その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金が掲げられています。
ここでいう「政令で定めるもの」とは、所得税法施行令第320条第3項において具体的に指定されています。プロサッカーの選手、プロテニスの選手、プロレスラー、プロゴルファー、プロボウラー、自動車のレーサー、自転車競技の選手、小型自動車競走の選手(オートレースの選手)、モーターボート競走の選手がこれに該当いたします。 また、同項では、モデルには、雑誌や広告その他の印刷物にその容姿を掲載させて報酬を受ける者も含まれることが明記されています。
これらの方々に報酬を支払う事業者は、支払いの際に所得税を源泉徴収し、原則として支払った月の翌月10日までに国に納付する義務を負います。
なお、外交員、集金人、電力量計の検針人やプロスポーツ選手等に支払う報酬・料金については、支払者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合であっても、納期の特例の対象とはなりません。したがって、原則どおり、支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。



スポーツ選手といってもすべての競技が網羅されているわけではなく、法令や政令に限定列挙されている職種に該当するかどうかがポイントとなります。契約書上の名目ではなく、実際の役務提供の実態に即して対象となるかを判断することが大切です。
2. 源泉徴収税率と控除額の計算方法(原則と特例)
対象となる職種によって、源泉徴収すべき所得税額の計算方法に違いがあります。特に、あらかじめ一定の金額を差し引くことができる特例的な控除が設けられている職種がある点に注意が必要です。
以下の表に、職種ごとの控除額と税率をまとめました。
| 対象となる職種 | 控除額 | 源泉徴収税率(所得税のみの原則) |
|---|---|---|
| 職業野球の選手、プロサッカーの選手、競馬の騎手、モデル等 | なし | 1回に支払われる金額が100万円以下の部分:10%(10.21%)、100万円を超える部分:20%(20.42%) |
| 職業拳闘家(ボクサー) | 1回につき5万円 | 控除後の残額に対して10%(10.21%) |
| 外交員、集金人、電力量計の検針人 | 1ヶ月につき12万円(※) | 控除後の残額に対して10%(10.21%) |
(注)令和19年12月31日までは復興特別所得税が上乗せされ、実際の源泉徴収税率は10.21%および20.42%となる
(※)外交員等の場合、同一の支払者から給与等の支払いも受けている場合には、12万円からその月中に支払われる給与等の金額を差し引いた残額が控除額となります。
原則として、職業野球の選手やモデル等に対する報酬については、支払金額に対して直接税率を乗じて計算いたします。1回の支払額が100万円以下の部分は10%(10.21%)、100万円を超える部分については20%(20.42%)の税率となります。
一方で、職業拳闘家に対する報酬は、1回の支払金額から5万円を控除した残額に10%(10.21%)を乗じます。 さらに、保険の外交員や集金人、検針人に対する報酬については、その月中に支払われる金額から12万円を控除した残額に対して10%を乗じます。給与と報酬が併給されている場合には、12万円から給与の額を差し引いた残りが報酬から控除できる金額となる特例的な計算を行います。



外交員等に対する12万円の控除は「1ヶ月あたり」であり、職業拳闘家に対する5万円の控除は「1回あたり」である点に気を付けてください。また、同一人物に対する報酬であっても、1回の支払いが100万円を超えるかどうかの判定は、源泉徴収税率が変わる分水嶺となりますので、正確に集計する必要があります。
3. 通達に基づく具体的な実務上の取扱い
条文だけでは判断が難しい具体的なケースについて、所得税基本通達に基づき、実務上どのように取り扱うのかを解説いたします。重要な例外や判断基準が含まれますので、一つずつ確認していきましょう。
3-1. 職業野球の選手や自動車のレーサーに関する報酬の範囲
職業野球の選手の業務に関する報酬又は料金には、実際にプレーする選手だけでなく、監督、コーチャー、トレーナー又はマネージャーに対し、選手契約に定めるところにより支払われるすべての手当や賞金品が含まれます。選手契約に基づいているかどうかが判定の鍵となります。
また、自動車のレーサーとは、サーキット場で行われるロードレースのほか、ラリー、モトクロス、トライアル等の自動車の競走及び競技に出場するすべての者を指します。そのため、レーシングチームに所属していても、メカニックやタイムキーパー、ピットサインマンなど、自ら競技に出場しない者に対して支払われる報酬は、この規定に基づく自動車のレーサーとしての報酬には含まれません。
3-2. モデル・マネキンの取扱いと日額表丙欄の適用
デパート等において常時役務を提供し、その勤務の状態がそのデパートの職員の勤務状態と類似しているファッションモデルやマネキンに対して支払われるものは、報酬ではなく「給与等」として源泉徴収をして差し支えないこととされています。この場合、その役務提供期間が2ヶ月以内の期間と定められている場合には、日額表丙欄による源泉徴収税額の計算が可能です。
また、マネキン紹介所を経由して対価が支払われる場合であっても、紹介所が単に本人に代わって対価を受領しているにすぎないときは、求人者たる企業が源泉徴収義務者となります。したがって、紹介所経由で支払っているかどうかだけで判断するのではなく、誰が役務提供の対価を支払っているか、紹介所が単なる代理受領者にすぎないかを確認する必要があります。
3-3. 外交員や集金人の報酬か給与かの判定
外交員又は集金人が受け取る金銭が、給与所得に該当するのか、事業所得(外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金)に該当するのか、判定が困難な事例が多く存在します。この区分の要件としては、旅費その他の費用の負担状況、および役務の提供についての指揮命令の状況等を総合勘案し、給与等と認められるものについてはその総額を給与等とし、その他のものについてはその総額を報酬又は料金として判定することになります。ここには明確な線引きがないため、実態に即した個別の判定が求められます。
なお、ここでいう外交員又は集金人とは、保険会社の外交員や集金人に限定されるものではありません。
3-4. 特約店等のセールスマン等に対する取扱数量に応じた費用やレクリエーション費用
製造業者又は卸売業者が、特約店等に専属するセールスマン等に対し、その取扱数量又は取扱金額に応じてあらかじめ定められているところにより交付する金員は、外交員の報酬に該当するものとして源泉徴収の対象となります。
原則として、金銭以外の経済的利益(旅行の提供や物品など)であっても源泉徴収の対象となりますが、例外として、特約店等のセールスマン等の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用や、これらの者またはその親族等の慶弔・禍福に際し一定の基準に従って交付する金品については、当該セールスマン等が受ける経済的利益として課税しなくて差し支えないとされています。
また、団体扱保険料の集金手数料については、報酬又は料金には該当しないものとして取り扱われます。



外交員の報酬か給与かの区分は、税務調査でも頻繁に確認される論点です。指揮監督関係や経費の負担割合などを客観的な事実に基づき整理しておくことが不可欠です。また、マネキン紹介所を利用する場合の源泉徴収義務者が誰になるかという点も、契約の形態によって変わるため、事前に契約内容を精査しておきましょう。
4. まとめ
本日は、所得税法第204条第1項第4号に関わる「職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金」の源泉徴収について解説いたしました。
対象となる職種が法令・政令で厳格に定められていること、職種によって控除できる金額(12万円や5万円)と税率の計算方法が異なること、そして通達に基づく実務上の細かな判定基準があることをご理解いただけたかと思います。 特に、スポーツの周辺スタッフの取り扱いや、マネキン・外交員の給与と報酬の区分など、契約の実態を伴う判断が求められるケースは少なくありません。



実務において少しでも迷われる事項が発生した場合には、ご自身の判断だけで処理を進めず、ぜひ私たち税理士などの専門家にご相談ください。正確な事実関係の把握と法令の適用を通じて、適切な税務処理をサポートいたします。










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