ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月18日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、法人税における『所得税額の控除』についてです。



所得税額の控除ですか。法人が受け取る利子や配当から引かれている所得税を、法人税から差し引く制度のことですよね?



その通りです。法人が受け取る利子や配当等にはすでに所得税が課されていますので、法人税の計算において二重課税を排除するための重要な制度となります。しかし、控除額の計算方法や申告要件など、実務上気をつけるべき点が多々あります。



なるほど!具体的にどのような点に気をつければよいのか、詳しく教えてください。
1. 所得税額の控除の基本(原則的な取扱い)
法人税法第68条第1項の規定に基づき、内国法人が各事業年度において、所得税法に規定される利子等、配当等、給付補填金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金の支払を受ける場合には、これらにつき課される所得税の額(および復興特別所得税の額)を、その事業年度の所得に対する法人税の額から控除することができます。
法人が受け取る預金利息や株式の配当金には、あらかじめ所得税が源泉徴収された上で手元に入金されます。法人の所得はこれら源泉徴収前の総額を益金として計算(配当等については受取配当等の益金不算入など別途の調整が行われる場合があります。)し、最終的に法人税が課されることになります。そのままでは源泉徴収された所得税と法人税とで二重に税金が課されてしまうため、法人税の計算上、すでに引かれた所得税額を控除するというのがこの制度の趣旨です。
なお、控除の対象となる所得税の額からは、分配時調整外国税相当額は除かれる点にご留意ください。



法人税額から控除できるといっても、無条件で全額を控除できるわけではありません。利息と配当とで計算方法が異なるなど、法令のルールに則って正確に計算することが求められます。
なお、所得税額控除または還付の対象とした所得税等の額は、法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されません。一方、所得税額控除を受けない場合には、その所得税等の額を損金算入する取扱いとなります。
2. 控除額の計算方法と実務上の具体例
控除の対象となる所得税額の計算については、法人税法施行令第140条の2において詳細に規定されています。ここでは「配当等」と「配当等以外」とで明確に計算方法が分かれています。
| 区分 | 控除対象となる所得税額 | 備考 |
|---|---|---|
| 配当等 | その元本を所有していた期間に対応するものとして計算される所得税額 | 期間や株式数等による按分計算が必要 |
| 配当等以外 | その所得税の額の全額 | 預金利息などが該当 |



預金利息など、所有期間による按分計算の対象とならないものについては、原則として源泉徴収された所得税等の全額が控除対象となります。一方、株式の配当等、集団投資信託の収益分配、国外株式等の配当等、一定の割引債の償還差益などについては、元本の所有期間に対応する部分のみが控除対象となる場合があります。
配当等と配当等以外の取扱いの違い
預金の利息などの「配当等以外」のものについては、源泉徴収された所得税の全額をそのまま法人税額から控除することができます。 一方で、株式の配当や投資信託の収益の分配といった「配当等」については、源泉徴収された所得税の全額を控除できるわけではありません。その配当等の元本(株式や出資など)を法人が所有していた期間に対応する部分のみが控除の対象となります。
ここでいう「配当等」とは、法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、または集団投資信託の収益の分配などを指します。ただし、特定公社債等運用投資信託の受益権や特定目的信託の社債的受益権に係るもの、資本剰余金の減少に伴うもの、分割型分割によるものなどは除かれます。
元本所有期間に基づく按分計算
配当等に係る控除額の具体的な計算方法は、原則として月数按分によります。配当等に対する所得税の額に、その配当等の計算の基礎となった期間(計算期間)の月数のうち、内国法人がその元本を所有していた期間の月数の占める割合を乗じて計算します。
たとえば、計算期間が6ヶ月(6ヶ月分の配当)であり、法人がその株式を直前の3ヶ月間だけ所有していた場合、源泉徴収された所得税の半分の金額のみが控除対象となります。なお、この計算において月数に1ヶ月未満の端数が生じたときは、暦に従って計算し、端数を1ヶ月に切り上げます。また、算出した割合に小数点以下3位未満の端数があるときも切り上げとなります。
銘柄ごとの簡便的な計算方法
実務上、日々売買が行われる株式等について、すべての元本の所有期間を個別に把握して計算することは煩雑です。そこで、法人税法施行令第140条の2第3項では、原則的な月数按分に代えて、銘柄ごとの簡便計算を行うことが認められています。
この方法では、配当等の元本を「株式および出資」と「集団投資信託の受益権」に区分し、さらに配当等の計算期間が1年を超えるものと1年以下のものに区分します。そのうえで、その区分に属するすべての元本について、銘柄ごとに次の割合を用いて控除対象となる所得税額を計算します。
配当等の計算期間が1年以下の場合、控除対象となる所得税額は、原則として次の算式により計算します。
配当等に係る所得税額 × {期首所有元本数 +(期末所有元本数 − 期首所有元本数)× 1/2} ÷ 期末所有元本数
配当等の計算期間が1年を超える場合には、上記算式の「1/2」を「1/12」として計算します。
なお、期末所有元本数が期首所有元本数を下回る場合には、法令上の調整により、控除割合が過大にならないよう取り扱われます。したがって、単純に期首・期末の株数を機械的に当てはめるのではなく、別表六(一)の記載要領や法令の規定に従って確認することが重要です。



実務上、配当等に係る所得税額の控除計算は、別表で厳密に行う必要があります。とくに期中に株式を売買した場合など、元本の所有期間や株数の把握が正確に行われているか、必ず帳簿と照合して確認してください。
3. 特例と例外的な取扱い
公益法人等および人格のない社団等に関する例外
内国法人である公益法人等または人格のない社団等が支払を受ける利子および配当等のうち、収益事業以外の事業またはこれに属する資産から生ずるものにつき課される所得税の額については、法人税額からの控除は適用されません。公益法人等の非収益事業から生ずる所得にはそもそも法人税が課されないため、それに紐づく所得税を控除することはできないという趣旨です。
確定申告等の添付要件と限度額のルール
所得税額の控除の適用を受けるためには、確定申告書、修正申告書または更正請求書に、控除を受けるべき金額およびその計算に関する明細を記載した書類を添付する必要があります。 さらに極めて重要な点として、控除される金額は、この明細書類に「控除を受けるべき金額として記載された金額」が限度となります。つまり、計算上の控除額が正しくても、申告書への記載額が誤って少なくなっていた場合、その少ない金額までしか控除を受けることができなくなってしまいます。
中間申告に係る特例
中間申告書を提出して所得税額等の還付を受ける場合、確定申告において控除されるべき所得税の額には、中間申告ですでに還付された金額は含まれません。二重に還付を受けたり控除したりすることがないよう、中間申告額との精算には留意が必要です。



申告書への記載金額がそのまま控除の限度額になってしまうという法人税法第68条第4項のルールは、実務上のミスが許されない非常に厳しい規定です。別表の作成時には、転記ミスや計算漏れがないか、何重にもチェックする体制を整えましょう。
4. 組織再編成等における元本所有期間の引継ぎ
適格組織再編成による特例
法人が配当等の元本を他の法人から移転された場合、原則としてその移転を受けた日から所有期間が起算されます。しかし、一定の組織再編成等によって移転を受けた場合には、移転元の法人が所有していた期間を、移転先の法人が所有していた期間とみなして控除額を計算する特例が設けられています。
法人税法施行令第140条の2第4項の規定により、以下の事由により元本の移転を受けた場合には、移転元の法人が所有していた期間を引き継ぐことができます。
- 適格合併(被合併法人からの引継ぎ)
- 適格分割(分割法人からの引継ぎ)
- 適格現物出資(現物出資法人からの引継ぎ)
- 適格現物分配(現物分配法人からの引継ぎ)
- 特別の法律に基づく承継(被承継法人からの引継ぎ)
- 通算法人への他の通算法人からの移転
また、配当等の計算期間の中途で適格分割等により移転が行われた場合、前述の簡便的な計算方法(銘柄ごとの株数割合による計算)を適用する際の分母の計算においても、移転元の法人が期首に所有していた元本数や、移転直前に所有していた元本数に対する移転割合を考慮した特殊な調整計算が行われます。



グループ内での再編を頻繁に行う法人の場合、適格組織再編成による株式等の移転が配当の計算期間の中途で行われることが多々あります。この際、所有期間の引継ぎ処理を失念すると、控除できる所得税額が過少に計算されてしまい、クライアントに不利益を与えてしまう可能性があります。組織再編成があった事業年度は、移転資産の履歴を慎重に追跡してください。
5. まとめ
法人税における所得税額の控除は、法人が受け取る利子や配当等の源泉所得税を法人税額から差し引き、二重課税を防止する重要な仕組みです。
実務においては、預金利息など「全額控除」できるものと、株式の配当などのように「元本所有期間で按分計算」しなければならないものを正確に区分することが第一歩となります。配当等の控除計算には、原則的な月数按分のほか、銘柄ごとの株数を用いた簡便計算も認められていますが、計算の基礎となる期間や株数の正確な集計が不可欠です。
さらに、適格組織再編成があった場合には元本所有期間の引継ぎが認められるといった特例や、申告書に記載した金額が控除の限度額となるという厳格な手続き要件が存在します。



これらを法令に基づき正確に処理し、申告漏れや記載誤りのないように実務にあたることが求められます。不明点等があれば、税理士にご相談ください。










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