ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年6月25日のテーマはなんでしょうか?



今朝は「映画や演劇、芸能関係の出演等に関する報酬の源泉徴収」についてです。所得税法第204条第1項第5号に規定されている内容ですね。



芸能関係のお仕事ですか!とても華やかな世界ですが、税務の面では少し複雑そうなイメージがあります。



おっしゃる通りです。どのような業務が対象になるのか、報酬の範囲はどこまでか、さらには個人事務所とタレントの契約関係によって源泉徴収の仕組みがどう変わるのかなど、非常に細かな実務上のルールが通達等で定められている分野です。



なるほど、しっかり理解しておく必要がありそうですね。よろしくお願いいたします!
なお、第1号、第2号、第3号及び第4号に関しては、以下の記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第1号「原稿等の報酬や料金」にかかる源泉徴収義務のすべて
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第2号に基づく弁護士等への報酬・料金に係る源泉徴収の実務
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第3号関係:診療報酬に関する源泉徴収義務
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第4号関係 職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金の源泉徴収
1. 映画・演劇等の出演に関する源泉徴収の原則
所得税法第204条第1項第5号では、居住者に対して国内において「映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含みます。)又は企画の報酬又は料金」等を支払う者は、その支払の際に所得税を源泉徴収し、原則として翌月10日までに国に納付しなければならないとされています。
ここでいう「政令で定める芸能」とは、音楽、音曲、舞踊、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、腹話術、歌唱、奇術、曲芸又は物まねを指します。 また、「演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む)」の範囲には、映画や演劇の製作、振付け(剣技指導等を含みます)、舞台装置、照明、撮影、演奏、録音(擬音効果を含みます)、編集、美粧又は考証が含まれます。
そして、対象となる「芸能人」とは、映画や演劇の俳優、映画監督や舞台監督(プロデューサーを含みます)、演出家、放送演技者、音楽指揮者、楽士、舞踊家、講談師、落語家、浪曲師、漫談家、漫才家、腹話術師、歌手、奇術師、曲芸師、物まね師と規定されています。



芸能関係の源泉徴収は、支払先の職種がこれらの法令や政令に該当するかどうかを確認することが第一歩となります。表舞台に立つ俳優や歌手などの出演者だけでなく、映画・演劇の製作、振付け、舞台装置、照明、撮影、録音、編集、美粧、考証など、法令上「演出」に含まれる業務の報酬も対象となる点に注意が必要です。
2. 対象となる報酬・料金の具体的な範囲
基本通達では、源泉徴収の対象となる報酬や料金について、実務上判断に迷いやすい具体例が詳細に示されています。重要なポイントを漏らさず確認しておきましょう。
放送番組の審査員などの報酬
ラジオ放送やテレビジョン放送に係る出演の報酬には、クイズ放送やのど自慢放送などの審査員に対する報酬や料金も含まれます。これらは出演者としての役割を果たしていると認められるためです。
監修料や選曲料
映画や演劇に関係する監修料(カット料)や選曲料は、演出の対価としての性格を有すると認められることから、源泉徴収の対象となる製作や編集の報酬に含まれます。
芸能人が他の芸能人を伴う場合
自ら出演しながら他の芸能人の役務の提供を伴う場合に受ける報酬は、個人の出演報酬と芸能人の役務提供をあっせんする事業に係る報酬の両方の性質を有します。そのため、区分することなく、その全額が源泉徴収の対象となります。
著作隣接権等の対価が含まれる場合
芸能人の実演の録音・録画、放送、有線放送につき著作隣接権の対価として受けるものや、録音物の増製や放送につき支払を受けるものは、源泉徴収の対象となる役務提供の報酬に含まれます。 また、個人事業主で自ら作曲や脚本作成を行うとともに、その曲の演奏の指揮や自ら出演を行った場合に受ける報酬について、著作権の対価(作曲料や脚本料)と出演等の対価が明確に区分されていないときは、その全額が本号に掲げる報酬や料金に該当するものとして取り扱われます。
小道具や衣装などの損耗費
大道具、小道具、衣装、かつら等の使用による損耗の補填に充てるための道具代や犬、猿等の動物の出演等として受けるもの(単なる貸与である場合を除きます)は、芸能人の出演等に付随して提供されるものであるため、報酬や料金に含まれます。
対象に含まれないもの
料理屋や旅館等の客の求めに応じて、日本舞踊や三味線等の技芸を披露して客に酒興を添えるために軽易な芸を披露した者(専属して芸を披露している者等を除きます)に対し、客が直接支払う報酬や料金は、含まれないものとして取り扱われます。 また、映画やレコードの製作を依頼した場合に製作者に対して支払う製作の対価は、たとえその対価の構成部分に芸能人の役務の提供に関するものが含まれていたとしても、本号の報酬や料金には該当しません。



報酬の中に著作権の使用料などが含まれている場合、契約上明確に区分されていなければ全額が源泉徴収の対象となってしまいます。契約書を作成する段階で、対価の性質ごとに金額を明確に分けておくことが実務上の重要ポイントです。
3. 個人事業主と出演者などの契約関係による課税関係の整理
芸能人の役務の提供に関して、出演先、個人事業主(プロダクション等)、出演者の間でどのような契約関係があるかによって、源泉徴収の対象者が変わります。
- 出演先と個人事業主との間に契約がある場合
出演先と個人事業主の間にのみ契約が締結されており、報酬の全額が個人事業主に支払われ、その後、個人事業主から出演者に支払われる場合は、出演先が個人事業主に支払う段階でその全額について源泉徴収が行われます。 - 出演先と個人事業主、個人事業主と出演者の両方に契約がある場合
出演先と個人事業主の間、および個人事業主と出演者の間でそれぞれ契約が締結されているにもかかわらず、その報酬の全額が出演先から直接出演者に支払われることがあります。この場合は、個人事業主からの指示によって直接支払われたものとして、まず個人事業主に全額が支払われ、その後、個人事業主から出演者に支払われたものとみなされます。したがって、それぞれの支払の段階で源泉徴収を行う必要があります。 - 出演先と出演者の間に契約がある場合
出演先と出演者の間に直接の契約があり、個人事業主は単にあっせん等の役務提供契約を締結しているにすぎない場合があります。この場合、出演先から出演者に支払われる報酬と、出演先から個人事業主に支払われるあっせん等の報酬に対して、それぞれ別々に源泉徴収が行われます。ただし、個人事業主に対する報酬が、出演者の報酬から差し引かれて支払われるような場合には、出演者が出演先から全額を受け取り、その中から個人事業主へ支払ったものとして源泉徴収の対象を判断する必要があります。



芸能界では、プロダクションとタレント、そしてテレビ局などの出演先とのお金の流れが複雑になりがちです。誰が誰と契約を結んでいて、誰が誰に支払いを行う義務を負っているのかを事実関係に基づいて正確に把握することが、源泉徴収漏れを防ぐ最大の防御策となります。
4. 源泉徴収税額の計算方法
所得税法第204条第1項第5号に規定される映画・演劇等の出演に関する報酬等の源泉徴収税額は、同一人に対し1回に支払われる金額に応じて、2段階の税率が適用されます。 なお、支払金額からは控除できる金額の規定は設けられていません。
| 1回に支払われる金額 | 源泉徴収税額の計算方法 |
|---|---|
| 100万円以下の部分 | 支払金額 × 10.21% |
| 100万円を超える部分 | (支払金額 – 100万円)× 20.42% + 10万2,100円 |
※上記の税率には、復興特別所得税(0.21%および0.42%)が含まれています。



1回の支払いが100万円を超える高額な報酬の場合、100万円を超えた部分に対しては20.42%という高い税率が適用されます。計算を間違えると大きな納付不足を引き起こす原因になりますので、経理担当者は十分に注意してください。
5. 源泉徴収を要しない報酬又は料金(免除の特例)
204条1項5号に規定する「芸能人の役務の提供を内容とする事業」を営む居住者については、一定の事業要件・記帳要件を満たし、納税地の所轄税務署長から証明書の交付を受け、その有効期間内に支払者へ提示した場合、当該報酬・料金について源泉徴収を要しない特例があります。 この免除を受けるためには、支払を受ける居住者が、報酬や料金を帳簿に明確に記録していることについて、納税地の所轄税務署長から「源泉徴収免除の証明書」の交付を受け、支払者にその証明書を提示する必要があります。
免除証明書を受けるための事業の要件は、以下のいずれかに該当することです。
- 映画又はレコード(録音テープ等を含む)の製作を主たる事業としていること
- 自ら主催してその所有する劇場において定期的に演劇の公演を行っていること
- 自ら主催して興行場において定期的に演劇の公演を行うことを主たる事業としていること
- 主として自己に専属する芸能人をもって演劇の製作及びその製作した演劇の公演を行うことを主たる事業としていること
映画の製作等を主たる事業としているかどうかの判定
法人の場合は定款等により主たる事業であるかを判定しがちですが、個人の場合は、事業施設の状況、従事期間、収入金額の比較などを総合勘案して実態に基づいて判定されます。
演劇の範囲等
免除要件にある「演劇」とは、一定の脚本に基づき個々の芸能人の演技を超越して全体が一つの芸能と評価される芝居等をいいます。したがって、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱、奇術、曲芸、物まね及び舞踊等は、原則としてこれに含まれません。 ただし、歌唱、演奏や舞踊等であっても、一つの芸能として公演できる程度に演出、構成されているものは演劇に該当するものとして取り扱われます。
自己に専属する芸能人の意義
「自己に専属する芸能人」とは、芸能人としての役務の提供の全てが自己のためにのみ行われることが雇用契約やいわゆる専属契約において明確に定められ、かつ、その約定が実行されている芸能人をいいます。特定の芸能人がその個人事業主に専属するかどうかは、単に契約上専属しているかどうかだけでなく、両者を通じて専属の有無を判定する必要があるとされています。



税務署から免除証明書を交付してもらうためには、過去1年間を通じて記帳や申告が適正に行われていることが前提となります。もし帳簿の記録が不十分などの理由で証明書が失効させられた場合は、その後1年間は再申請ができないという厳しい措置もありますので、日々の経理処理は正確に行うよう心がけましょう。
6. 免税芸能法人等が支払う役務提供報酬等の特例
海外のエンターテインメント企業を日本に招聘する場合などに関係する特例として、租税特別措置法第41条の22に規定される源泉徴収の特例があります。
国内において芸能人や職業運動家の役務提供を主たる内容とする事業を行う非居住者や外国法人のうち、租税条約の規定により日本での所得税が免除される者(国内に恒久的施設を有しない等の要件を満たす者。これを「免税芸能法人等」と呼びます)が対象です。 免税芸能法人等が、国外において、その所得税を免除される対価のうちから、当該事業のために芸能人等の役務提供をする他の非居住者等に対して給与・報酬・対価を支払うときは、原則として20%(20.42%)の所得税を源泉徴収し、その徴収の日の属する月の翌月末日までに国に納付する必要があります。



海外のアーティストや団体を日本に呼ぶ場合、大元の外国法人が租税条約で免税となるからといって、その法人が帯同してきたバックミュージシャンやスタッフに支払う報酬まで日本の税金が無関係になるわけではありません。特例により、大元の法人が源泉徴収義務者として日本の税務署に納付する手続きが必要となる点に留意が必要です。
まとめ
本日は所得税法第204条第1項第5号に基づく、映画や演劇、芸能人の出演等に関する源泉徴収義務について網羅的に解説しました。
- 俳優やタレントはもちろん、監督、照明、メイクなど演出に関わる裏方の報酬も源泉徴収の対象となります。
- クイズ番組の審査員、監修料、衣装の損耗費なども対象に含まれる一方で、客から直接受け取るチップや、純粋な映画製作の請負代金は含まれないなど、実態に即した判定が必要です。
- プロダクションと出演者の契約関係(誰が誰に支払う義務を負っているか)によって、源泉徴収を行うタイミングや回数が異なります。
- 源泉徴収税額は100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%の2段階税率です。
- 一定の要件(帳簿の記録、演劇等の主宰など)を満たし、税務署長から証明書を受けた場合は源泉徴収が免除される特例があります。
- 海外の免税芸能法人等がスタッフ等に支払う報酬については、特例(20%の源泉徴収)が存在します。



芸能関係の税務は、契約形態が多様であり、実務上迷う場面が多々あります。少しでも判断に迷うような取引がある場合は、ぜひお近くの専門家にご相談ください。本日の解説が、皆様の適正な実務の一助となれば幸いです。










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