ミミレイドンボス、おはようございます!2026年6月27日のテーマはなんでしょうか?



おはようございます。本日は、所得税法第204条第1項第8号に規定される「広告宣伝のための賞金」にかかる源泉徴収について解説いたします。



広告宣伝のための賞金ですか。テレビのクイズ番組でもらえる賞金や、事業者のキャンペーン等でもらえる賞品のことでしょうか。



その通りです。単に賞金を支払うだけでなく、所得税法の規定に基づき、支払う側に源泉徴収の義務が生じるケースが多々あるのです。



泉徴収が必要なのですね。どのような場合に該当し、どのように計算して差し引くのか、詳しく教えてください。



承知いたしました。賞品が金銭以外の物品であった場合の評価方法や、税金を支払者側で負担する場合の計算など、実務上で迷いやすい論点も含めて、基礎から丁寧に確認していきましょう。



第1号、第2号、第3号、第4号、第5号及び第7号に関しては、以下の記事をご覧ください。
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第1号「原稿等の報酬や料金」にかかる源泉徴収義務のすべて
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第2号に基づく弁護士等への報酬・料金に係る源泉徴収の実務
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第3号関係:診療報酬に関する源泉徴収義務
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第4号関係 職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金の源泉徴収
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第5号 映画・演劇・芸能関係の源泉徴収
【町田市の税理士が解説】所得税法第204条第1項第7号の「契約金」に関する源泉徴収
広告宣伝のための賞金にかかる源泉徴収の原則
所得税法第204条第1項第8号では、居住者に対し国内において「広告宣伝のための賞金」を支払う者は、その支払の際に所得税を源泉徴収し、翌月10日までに国に納付しなければならないと定められています。
事業者が自社の製品やサービスを広く世間に知ってもらうために、クイズの正解者やアンケートの回答者、イベントの優勝者などに対して支払う金銭や物品は、この「広告宣伝のための賞金」に該当します。法人は原則としてこの源泉徴収義務を負いますが、個人事業者の場合は「従業員等に給与を支払っている(給与支払事務所等を開設している)個人」のみが対象となります。給与の支払を行っていない個人は源泉徴収義務が免除される点に注意が必要です。



源泉徴収の対象となるのは、あくまで事業の広告宣伝を目的とした賞金品です。個人的な趣味の範囲で行うイベントの賞金などは対象となりませんから、支払の目的をしっかりと確認することが実務上の第一歩となります。
「広告宣伝のための賞金」の対象となる範囲と例外
1. 原則的な取扱いと特例
事業の広告宣伝のために支払う賞金品の範囲について、所得税基本通達204-31では、事業を営む者が自己の事業の広告宣伝のために直接支払うものだけでなく、次のようなものも含まれるとしています。
・商店会、同業組合等の業者団体がその所属する事業者の営む事業の広告宣伝のために支払う賞金品等
・事業を営む者や業者団体から寄贈を受けた者が支払う賞金品等で、その寄贈者等の事業の広告宣伝のために支払うものと認められるもの
つまり、自社で直接支払わなくても、商店街の福引の賞品や、スポンサーから提供された物品をテレビ局が視聴者にプレゼントする場合など、実質的に事業者の広告宣伝として機能しているものは源泉徴収の対象となります。
また、素人が参加するクイズ番組やのど自慢番組の出演者に対する賞金品等について、所得税基本通達204-32では、これを放送謝金や出演報酬としての性格よりも、事業の広告宣伝のための賞金としての性格が強いと判断し、本号の対象として源泉徴収を行うことと定めています。
2. 例外的な取扱い(源泉徴収の対象とならないもの)
一方で、名称が賞金であっても、所得税基本通達204-33により、次のようなものは広告宣伝のための賞金には該当しないものとされています。
・社会的に顕彰される行為や業績等を表彰するために支払うもので、社会通念上、支払者の営む収益事業と密接な関連があると認められないもの(例:稲作日本一に選ばれた者に対して農林関係官庁等から支払われる賞金品)
・使用者が自己の使用人を対象として、あるいは団体が自己の構成員を対象として、その成績等を表彰するために支払うもの(例:成績優秀なセールスマンを海外旅行に招待する場合などの給与所得に該当するもの)
・行政官庁又はその協力団体が行政上の広報を目的として支払うもの(例:交通安全のための標語を募集し、それに対して支払う賞金品)



行政官庁又はその協力団体が行政上の広報を目的として支払う賞金品等は、原則として第204条1項8号の「広告宣伝のための賞金」には該当しません。ただし、支払内容によっては、原稿料、デザイン料その他の報酬・料金に該当しないかを別途確認する必要があります。
源泉徴収すべき税額の計算方法
1. 基本的な税額の計算
広告宣伝のための賞金に対する源泉徴収税額は、所得税法第205条第2号の規定により、支払金額から政令で定める金額である50万円を控除した残額に対して10パーセントの税率を乗じて計算します。なお、現在は復興特別所得税が加算されるため、合計で10.21パーセントの税率となります。
したがって、支払う賞金品の額が50万円以下の場合は、源泉徴収を行う必要はありません。
2. 受賞者が複数人いる場合等の取扱い
受賞者が2人以上の1組である場合の税額計算について、所得税基本通達205-13では、その賞金品の額について各人ごとの支払金額が区分されていない場合には、各人がそれぞれ均等に受けるものとして計算することとされています。 この場合、控除額の50万円についても各人ごとに適用できるため、50万円に支払を受ける者の人数を乗じて計算した金額を控除した残額に対して、税率を適用することになります。
また、同一の者に対して2以上の者が共同して賞金を支払う場合、所得税基本通達204-34により、その授賞等の事務を主宰している者が源泉徴収を行うことと定められています。幹事が定められている場合は幹事が、定められていない場合は主宰者が源泉徴収義務者となります。



グループで賞金を受け取る場合、源泉徴収税額の計算上、50万円の控除額を人数分考慮できる場合があります。ただし、これは源泉徴収税額の計算上の取扱いであり、受賞者側の所得税が当然に非課税となることを意味するものではありません。
賞金が金銭以外の物品等である場合の評価方法
広告宣伝のための賞金等は、金銭で支払われる場合だけでなく、商品券、家電製品、自動車、貴金属、不動産などの物品で支払われる場合もあります。このように賞金等が金銭以外のもので支払われる場合には、その物品を金銭に換算して、源泉徴収税額を計算する必要があります。国税庁も、物品で支払う場合にはその物品を評価する必要があるとしています。
評価時点については、所得税基本通達205-8により、原則として「賞品の支払を受けた日」とされています。ただし、支払者が賞品を送付する場合には、特に弊害のない限り、その発送の日を賞品を受けることとなった日として取り扱って差し支えないとされています。
具体的な評価方法は、所得税基本通達205-9において、賞品の種類ごとに次のように定められています。
| 賞品の種類 | 評価方法 |
|---|---|
| 公社債、株式、投資信託等 | その受けることとなった日の価額 |
| 商品券、ギフト券等 | 券面額 |
| 貴石、貴金属、真珠、さんご、書画、骨とう、美術工芸品等 | その受けることとなった日の価額 |
| 土地又は建物 | その受けることとなった日の価額 |
| 定期金に関する権利又は信託の受益権 | 相続税法や財産評価基本通達に準じて評価した価額 |
| 生命保険契約に関する権利 | その日に契約を解除したとした場合の解約返戻金の額等 |
| 上記以外の一般的な物品 | 通常の小売販売価額、いわゆる現金正価の60%相当額 |
例えば、一般的な家電製品、自動車、家具、日用品などを賞品とする場合には、通常の小売販売価額そのものではなく、その60%相当額で評価することになります。国税庁タックスアンサーでも、株式、貴金属、不動産等は受けることとなった日の価額、商品券やギフト券は券面額、それ以外の一定の物品については通常の小売販売価額の60%相当額で評価すると説明されています。
一方で、当選者等を旅行に招待する場合には注意が必要です。旅行その他の役務の提供は、物品そのものとは異なり、国税庁タックスアンサーでは、当選者等を旅行に招待する場合は、原則として広告宣伝のための賞金等には含まれないとされています。
ただし、旅行に代えて現金や物品を選ぶことができる場合には、その選択できる現金又は物品の価額が賞金等の額として取り扱われます。したがって、単に「旅行招待」である場合と、「旅行又は現金」「旅行又は物品」を選択できる場合とでは、源泉徴収の取扱いが異なる点に留意が必要です。
また、金銭以外のものと金銭とのいずれかを選択できる場合については、所得税基本通達205-10により、あらかじめ公表されている懸賞等の募集要綱等に、選択できる金銭の額が定められている場合をいうものとされています。つまり、募集要綱等で「賞品に代えて現金〇万円を選択できます」と明示されているような場合には、その選択できる金銭の額を基準に賞金等の額を把握することになります。
さらに、旅行その他の役務の提供と物品とのいずれかを選択できる場合には、所得税基本通達205-11の取扱いにも留意します。この場合、旅行などの役務の提供を受けたとしても、選択可能であった物品を受けたものとして評価し、その評価額を賞金等の額として取り扱うことになります。
したがって、実務上は、賞品が金銭以外である場合には、まずその内容が「物品」なのか、「旅行などの役務の提供」なのかを確認します。そのうえで、旅行招待のような役務提供については、原則として広告宣伝のための賞金等には含まれないものの、現金や物品との選択制になっている場合には、選択可能な金銭又は物品の価額を基準に源泉徴収の要否を判定する必要があります。



一般的な家電製品や自動車などの物品を賞品とする場合、小売販売価格の60パーセントで評価できるという点は実務上よく使われます。また、旅行と物品の選択制になっている場合、旅行を選んでも物品の評価額に引き直して計算するという通達の扱いは、間違いやすいポイントですのでしっかりと覚えておきましょう。
賞金に対する税額を支払者が負担する場合(グロスアップ計算)
事業の広告宣伝のための賞金品については、支払者が源泉徴収税額を負担し、受賞者には賞金の全額や物品をそのまま渡すというケースが多く見られます。 このような場合には、支払者が負担する源泉徴収税額も賞金品の一部として課税対象となるため、所得税基本通達205-12においてグロスアップ計算という方法が示されています。
計算式: (実際に支払う金銭の額又は賞品の評価額 - 50万円) ÷ 0.8979 × 10.21パーセント = 源泉徴収税額
この計算式を用いることで、手取り額から逆算して本来の支払金額を求め、正確な源泉徴収税額を算出することができます。



テレビ番組などで車をプレゼントする場合など、受賞者から税金分のお金をもらうわけにはいかないケースでこのグロスアップ計算を用います。支払者側での実質的な負担額が増えることになりますので、キャンペーンなどを企画する際には、あらかじめ税金分のコストも予算に組み込んでおくようアドバイスすることが税理士としての重要な役割です。
まとめ
本日は、所得税法第204条第1項第8号に規定される「広告宣伝のための賞金」にかかる源泉徴収について解説しました。
まず、対象となる賞金品等の範囲を正確に見極め、従業員への表彰や行政の広報目的など、源泉徴収の対象外となるケースとの区分を慎重に行うことが求められます。 次に、税額計算においては、50万円の控除額の存在と、グループ受賞時の人数の取り扱いを正確に適用することが重要です。 さらに、物品で支払われる場合の評価方法(小売価格の60パーセント評価等)や、選択制の場合の特殊な評価ルールを理解しておく必要があります。 最後に、支払者が税金を負担する場合のグロスアップ計算を実務に落とし込み、予算策定の段階から適切なアドバイスを行うことが大切です。



広告宣伝のキャンペーンは日常的に行われる身近なものですが、その裏にはこのような緻密な税務のルールが存在しています。本記事が、適正な実務運営のお役に立てれば幸いです。










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