ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年7月3日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、所得税実務における使用者が負担する入会金、年会費にかかる経済的利益の給与課税についてです。



ゴルフクラブやロータリークラブの入会金などを会社が負担してくれた場合、個人の税金はどうなるのかということですね。会社の経費になるから個人の税金は関係ないと思っていました。



実はそう単純ではありません。会社の業務遂行上必要なものなのか、それとも役員や従業員個人のためのものなのかによって、所得税法上の給与として課税されるかどうかが明確に分かれてきます。今日はクラブの種類ごとの取扱いを、法令と通達に基づき確認していきたいと思います。
第1章 経済的利益に対する給与課税の基本原則と法令の根拠
所得税法第36条第1項では、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、金銭のほか、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額とすることが規定されています。
すなわち、会社(使用者)が役員や従業員に代わって入会金や年会費などの費用を負担した場合、それが職務の性質上欠くことのできないものとして所得税法上非課税とされるものや、所得税基本通達により経済的利益がないものとして取り扱われるものを除き、原則としてその役員や従業員に対する「経済的利益」の供与となり、給与所得として課税の対象となります。
しかし、使用者が負担した入会金等が、純粋に法人の業務遂行上必要なものであると客観的に認められる場合には、その負担による経済的利益はないものとして、個人の給与としては課税されません。実務上は、対象となるクラブが「ゴルフクラブ」「レジャークラブ」「ロータリークラブ等の社交団体」のいずれに該当するかによって、基本通達における具体的な判定基準が異なってきます。



実務上、この「法人の業務遂行上必要か否か」という判定は非常に重要です。形式的に法人名義の領収書をもらっているからといって安心せず、実態として誰が何のために利用しているのかを、第三者である税務署に対して客観的に説明できるように備えておくことが肝要となります。
第2章 ゴルフクラブの入会金・年会費等の取扱い
ゴルフクラブの入会金を負担した場合
使用者がゴルフクラブの入会金を負担することにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、所得税基本通達36-34により、契約の形態に応じて以下のように取り扱われます。
(原則的な取扱い:法人会員として入会した場合)
会社が法人会員として入会した場合であっても、記名式の法人会員で名義人である特定の役員又は使用人が、専ら法人の業務に関係なく利用するため、これらの者が個人的に負担すべきものであると認められるときは、その入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与として課税されます。
(原則的な取扱い:個人会員として入会した場合)
役員又は使用人が個人会員として入会した場合、会社が負担した入会金に相当する金額は、原則として当該役員又は使用人に対する給与となります。
(特例・例外的な取扱い)
役員又は使用人が個人会員として入会した場合であっても、例外として給与課税されない特例があります。それは「無記名式の法人会員制度がないため」に役員や使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められ、かつ、その入会金を法人が資産に計上したときです。この要件をすべて満たせば、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとみなされます。 なお、ここでいう入会金には、他人の有する会員権を購入した場合の購入代価のほか、他人の名義を変更するためにゴルフクラブに支出する名義書換料などの費用も含まれます。
ゴルフクラブの年会費やプレー代を負担する場合
所得税基本通達36-34の2により、使用者がゴルフクラブの年会費その他の費用を負担した場合は次のように取り扱われます。
(年会費、年決めロッカー料等の取扱い)
名義書換料を含み、プレーをする場合に直接要する費用を除いた年会費やロッカー料等については、その入会金が法人の資産として計上されている場合には、経済的利益はないものとされます。しかし、入会金が給与等として課税されている場合には、使用者が負担する年会費等の金額も、当該役員又は使用人に対する給与等として課税されます。
(プレー代等の取扱い)
使用者がプレーをする場合に直接要する費用を負担する場合には、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、経済的利益はないものとされます。しかし、個人的な利用など法人の業務遂行上必要と認められない場合には、そのプレーをした役員又は使用人に対する給与等となります。
| 負担費用の種類 | 会員形態など | 給与課税の判定 |
|---|---|---|
| 入会金 | 記名式の法人会員 | 専ら法人の業務に関係なく利用する場合は給与課税 |
| 入会金 | 個人会員 | 原則として給与課税(法人会員制度がなく、業務上必要で法人資産に計上した場合は非課税) |
| 年会費等 | 年会費やロッカー料等 | 入会金が給与として扱われている場合は給与課税 |
| プレー代 | プレーに直接要する費用 | 法人の業務遂行上必要であれば非課税、それ以外は給与課税 |



個人会員として入会した場合でも給与課税されないための特例要件には、「入会金を法人が資産に計上していること」が含まれます。経理処理を誤って全額損金処理してしまうと、通達上の例外要件である「法人が資産に計上した場合」に該当しないと判断され、当該役員又は使用人に対する給与等として課税されるリスクがあります。特に役員に係るものについては、法人税上も役員給与として損金算入可否の問題が生じる可能性があります。
第3章 レジャークラブの入会金・年会費等の取扱い
レジャークラブとは、宿泊施設、体育施設その他のレジャー施設を会員に利用させることを目的とするクラブで、ゴルフクラブ以外のものをいいます。 使用者がレジャークラブの費用を負担した場合の取扱いは、所得税基本通達36-34の3において、基本的にはゴルフクラブの取扱いに準ずる形で定められています。
レジャークラブの入会金を負担する場合
使用者が入会金を負担する場合には、前述したゴルフクラブの入会金(基本通達36-34)の例によります。したがって、個人会員として入会した場合は原則給与課税ですが、無記名式の法人会員制度がない等の理由で個人会員となり、業務上必要で資産計上した場合は例外的に給与課税されません。
レジャークラブの年会費等や利用料を負担する場合
使用者が年会費その他の費用(レジャークラブの利用に応じて支払われる費用を除く)を負担する場合には、ゴルフクラブの年会費等(基本通達36-34の2の(1))の例によります。 また、使用者がレジャークラブの利用に応じて支払われる費用を負担する場合において、その費用が特定の役員又は使用人が個人的に負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等として課税されます。



レジャークラブの場合も、それが従業員全体の福利厚生目的のものなのか、社外の取引先等との交際目的のものなのかで判断が分かれます。福利厚生として認められるためには、特定の役員だけが利用できるような状況を避け、利用規程などを整備して誰もが利用できる実態を作っておくことが大切です。
第4章 ロータリークラブ及びライオンズクラブ等(社交団体)の取扱い
所得税基本通達36-35では、ゴルフクラブ、レジャークラブ、ロータリークラブ及びライオンズクラブを除く社交団体について、入会金・会費等の給与課税の取扱いが定められています。これに対し、ロータリークラブ及びライオンズクラブについては、所得税基本通達36-35の2において別途取扱いが定められています。
ロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等の取扱い
所得税基本通達36-35の2により、使用者がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金、会費その他の費用を負担した場合は、次のように取り扱われます。
(入会金又は経常会費を負担する場合の特例)
これらのクラブへの入会金又は経常会費を使用者が負担した場合は、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとされます。つまり、個人の給与としては課税されません。
(経常会費以外の費用を負担する場合)
経常会費以外の費用を使用者が負担する場合も、原則として役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとされます。ただし、その費用が会員である特定の役員又は使用人が個人的に負担すべきものであると明らかに認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等となります。
その他の社交団体の入会金等の取扱い
所得税基本通達36-35により、ロータリークラブ等以外の社交団体の取扱いは以下の通りです。
(入会金及び経常会費の取扱い)
個人会員として入会した役員又は使用人に係る入会金及び経常会費を負担する場合には、原則としてその負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とされます。 ただし例外として、法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、給与等として課税されません。
(経常会費以外の費用の取扱い)
経常会費以外の費用を使用者が負担する場合には、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、経済的利益はないものとされます。しかし、特定の役員又は使用人が個人的に負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等として課税されます。



ロータリークラブやライオンズクラブの入会金・経常会費は、社会奉仕活動などを通じて法人の事業活動に有益であることが実態として認められているため、初めから給与課税しないという特別な取扱いが設けられています。なお、個人の給与として課税されない場合であっても、法人税上は別途処理が必要です。法人がロータリークラブ又はライオンズクラブの入会金又は経常会費を負担した場合、その金額は法人税基本通達上、交際費として取り扱われます。また、経常会費以外の費用については、その支出目的に応じて寄附金又は交際費とされ、会員である特定の役員又は使用人が個人的に負担すべきものと認められる場合には給与となります。したがって、法人税申告では交際費等の損金算入限度額や寄附金の損金算入限度額の検討が必要です。
まとめ
本日は、使用者が負担する入会金や年会費等の経済的利益について、所得税法上の給与課税の取扱いを解説いたしました。
所得税法第36条の原則に従い、会社が負担した費用が個人の経済的利益となる場合は給与等として課税されます。 ゴルフクラブやレジャークラブの入会金については、個人会員名義であれば原則として給与課税されます。ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会が法人の業務遂行上必要であり、かつ会社が入会金を資産計上している場合には、例外的に給与課税されない取扱いとなります。年会費やプレー代についても、入会金の取扱いや業務遂行上の必要性によって判定されます。 一方で、ロータリークラブやライオンズクラブの入会金や経常会費については、事業への有益性から原則として個人の給与とはみなされないという明確な規定が置かれています。



このように、クラブの性質や契約形態、実態としての利用目的によって、税務上の取扱いは大きく異なります。税務調査において「単なる個人的な趣味や娯楽への支出ではないか」と指摘されないよう、法人としての業務関連性を明確にし、適切な会計処理を行うことが求められます。










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