ミミレイドンボス、おはようございます!
2026年5月25日のテーマはなんでしょうか?



今朝は、法人税法における「受取配当等の益金不算入額」に関する実務上の特殊論点です。具体的には、名義株等の配当、名義書換失念株の配当、短期保有株式等の判定(新株予約権付社債に係る行使を含む)、そして信用取引にかかる配当落調整額について確認していきたいと思います。



受取配当等の益金不算入制度は、法人間の二重課税を排除するための重要な制度ですね。しかし、名義株や配当落調整額が絡むと、一気に実務的な判断が難しくなりそうです。



おっしゃる通りです。制度の趣旨を理解した上で、法令や通達に基づく具体的な取扱いを整理しておくことが不可欠となりますので、確認していきましょう。
受取配当等の益金不算入制度の原則的な取扱い
法人税法上、内国法人が他の内国法人から受ける剰余金の配当や利益の配当などについては、法人税の二重課税を排除する目的から、一定の金額を各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととされています。この規定は、株式の保有割合などに応じて益金不算入となる割合が定められており、法人の税負担に大きな影響を与えます。
しかし、株式の保有実態や取引の形態によっては、この規定の適用を受けるべきかどうかの判断が複雑になるケースが存在します。以下に実務で直面しやすいケースを順番に見ていきましょう。



受取配当等の益金不算入制度は法人税を計算する上で非常に有利な制度ですが、適用要件を誤ると税務調査で大きな指摘を受けることになります。株式の保有目的や保有期間の確認を怠らないようにしてください。
なお、受取配当等の益金不算入制度の適用を受けるためには、確定申告書等に益金不算入額及びその計算に関する明細書を添付する必要があります。実務上は、別表八(一)等により区分判定、短期保有株式等の有無、負債利子控除の要否を確認し、申告書上で適切に反映することが重要です。



受取配当等の益金不算入制度の原則的な取扱いについては、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
【町田市の税理士が解説】受取配当等の益金不算入額の基本と実務上の留意点《基礎ログ》
名義株等の配当および名義書換失念株の配当の取扱い
実質所得者課税の原則と名義株
株式の配当金を受け取る際、その株式の株主名簿上の名義人と実際の所有者が異なる場合があります。法人税法では実質所得者課税の原則が適用されるため、名義株等の配当については、名義人が誰であるかにかかわらず、その株式の真の所有者である法人が受取配当等として認識し、益金不算入の規定の適用を受けることになります。
名義書換失念株の配当
株式を譲渡した後、名義書換えが行われなかったために旧株主が配当を受けることがあります。この場合、その配当が譲渡後に基準日が到来するものであるときは、旧株主が株主たる地位に基づいて受けたものではないため、原則として受取配当等の益金不算入の適用はありません。
ただし、配当権利落後からその支払に係る基準日までの間に譲渡した株式について旧株主が配当を受けた場合には、例外的にこの限りではありません。
したがって、名義書換失念株については、単に「実質所有者が買主であるから買主側で受取配当等として益金不算入を適用できる」と整理するのではなく、配当基準日、権利落日、譲渡日、名義書換の有無、精算金の性質を確認したうえで慎重に処理する必要があります。



実務上、名義書換を失念して配当の精算を受けた場合、経理担当者が誤って受取手数料や雑収入として処理してしまうことがよくあります。配当金の源泉所得税の控除も含め、実質が配当であることを証明できる売買契約書や精算書などの書類をしっかりと保存しておくことが極めて重要です。



以下の5つの事実を必ず時系列に並べて確認する必要があるということですね。
配当基準日:いつの時点で株主だった人が配当をもらえる日なのか?
権利落日:いつから配当の権利がなくなったのか?
譲渡日:実際に株を引き渡した日はいつか?
名義書換の有無:本当に名義変更が遅れていたのか?
精算金の性質:後から売主から買主へお金を渡す際、そのお金の名目は何か?
取扱いを表にまとめると以下のような感じでしょうか。
| パターン | 譲渡(売買)のタイミング | 元株主(売主)の処理 | 買主の処理 |
| 原則 | 配当基準日の「前」に株を渡していた | 益金不算入は適用できない (ただの預かり金、または譲渡代金の精算扱い) | 実質的な所有者だからといって、単純に益金不算入にできるわけではない(慎重な判断が必要) |
| 例外 | 権利落日から基準日までの間に株を渡していた | 例外的に益金不算入を適用できる (権利落日の時点では正当な株主だったため) | 基本的に関係なし |
短期保有株式等に係る益金不算入の適用除外とは?
制度の趣旨と原則的な要件
法人税法において、内国法人が他の内国法人から受ける配当等の額は、二重課税を排除する目的から一定額を益金に算入しないことができます。しかし、配当を受け取る権利を得る直前に株式を取得し、配当落ち後にすぐ売却するというような、租税回避を目的とした取引を防ぐためのルールが設けられています。
具体的には、内国法人がその受ける配当等の額の元本である株式等を、その配当等に係る「基準日等以前1月以内」に取得し、かつ、当該株式等又は当該株式等と銘柄を同じくする株式等を「基準日等後2月以内」に譲渡した場合には、その譲渡した株式等のうち政令で定めるものに対応する配当等の額については、益金不算入の規定を適用しないこととされています。
基準日等の定義
この判定において基準となる「基準日等」とは、配当等の種類に応じて以下のように定められています。
- 株式会社がする剰余金の配当で、配当を受ける者を定めるための基準日の定めがあるもの:当該基準日
- 株式会社以外の法人がする剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配などで、基準日に準ずる日の定めがあるもの:当該基準日に準ずる日
- 配当等で、基準日又は基準日に準ずる日の定めがないもの:当該配当等がその効力を生ずる日(効力を生ずる日の定めがない場合には、配当等がされる日)



基準日等は単なる配当の支払日ではありません。配当を受ける権利が確定する日を指しますので、会社の定款や株主総会の決議事項などを確認し、正確な日付を把握することが適正な税務処理の第一歩となります。
短期保有株式等に該当する株式数の判定・計算式
適用除外となる株式数の計算ステップ
基準日の前後で複数回にわたり同一銘柄の株式を取得・譲渡している場合、譲渡した株式のうち何株が適用除外(短期保有株式等)に該当するのかを算出する必要があります。法人税法施行令においては、基準日等後2月以内に譲渡をした株式数のうち、適用除外となる株式の数を以下の計算式で求めるよう規定しています。
適用除外となる元本株式等の数 = 基準日等後2月以内に譲渡をした元本株式等の数 × (第二号に掲げる数 ÷ 第一号に掲げる数)
第一号に掲げる数と第二号に掲げる数の計算方法
上記の式に出てくる「第一号に掲げる数」と「第二号に掲げる数」は、それぞれ以下のように計算します。
- 第一号に掲げる数
第一号の数は、「当該基準日等において有する元本株式等の数」と「当該基準日等後2月以内に取得をした元本株式等の数」を合計した数です。 これは、基準日後に譲渡が可能な株式の総枠(分母)を表しています。 - 第二号に掲げる数
第二号の数は、「当該基準日等において有する元本株式等の数」に、以下の割合(イに掲げる数のうちにロに掲げる数の占める割合)を乗じて計算した数です。 ・イに掲げる数:「当該基準日等から起算して1月前の日において有する元本株式等の数」と「当該基準日等以前1月以内に取得をした元本株式等の数」を合計した数 ・ロに掲げる数:「当該基準日等以前1月以内に取得をした元本株式等の数」
この第二号の計算式は、基準日時点での保有株式のうち、直前1箇月以内に取得した短期取得分が占める割合を算出し、その割合を基準日保有株式数に掛けることで、基準日保有分のうち短期取得とみなされる株式数を求めています。
計算式の整理
これらの法令の記述を数式として整理すると、以下の表のようになります。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 適用除外となる株式数 | 基準日等後2月以内の譲渡株式数 × (第二号の数 ÷ 第一号の数) |
| 第一号の数 | 基準日等において有する株式数 + 基準日等後2月以内の取得株式数 |
| 第二号の数 | 基準日等において有する株式数 × (基準日等以前1月以内の取得株式数 ÷ (1月前保有株式数 + 基準日等以前1月以内の取得株式数)) |



実際の適用除外株式数は、法人税法施行令20条に基づき、基準日等において有する元本株式等の数、基準日等後2月以内に取得・譲渡した同一銘柄株式等の数、基準日等以前1月以内に取得した株式数などを用いて按分計算します。単純に「先入先出」や「個別対応」で判定するものではないため、複数回売買がある場合には法令に基づく計算が必要です。



数式で見ると難しく感じますが、要するに譲渡した株式の中に、短期で取得した株式がどれくらいの割合で混ざっているかを法令が定めた比率で機械的に割り出しているということです。実務では、この計算を自動化するスプレッドシートなどを作成しておき、取得日と譲渡日を入力してミスを防ぐ工夫をお勧めします。
合併等が行われた場合の特例
組織再編成時の株式数の引き継ぎ
基準日等の前後において、適格合併や適格分割などの組織再編成が行われた場合、株式の保有期間や取得時期の判定において特例が設けられています。
例えば、基準日等から起算して1箇月前の日の翌日から、配当の効力が生ずる日までの期間内に、配当を受け取る内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合を考えてみましょう。 この場合、前述の計算式における第一号の数や第二号の数の計算において、被合併法人が有していた株式数や取得・譲渡した株式数を合算して判定を行います。具体的には、第一号の数の計算において、被合併法人が基準日等において有していた株式数や、基準日等後2月以内に取得した株式数を加算して計算します。同様に、第二号のイやロの計算においても、被合併法人が基準日の1箇月前に有していた株式数や、1箇月以内に取得した株式数をそれぞれ加算して計算することになります。
また、適格分割や適格現物出資等が行われた場合についても、分割法人等が有していた元本株式等の数のうち、当該適格分割等により移転する株式数の割合に応じて加算するなどの細かい調整計算が定められています。



組織再編成が絡むと、自社で直接売買を行っていなくても、被合併法人から引き継いだ取引履歴によって短期保有株式等に該当してしまうケースがあります。組織再編を行った事業年度においては、相手方法人の株式取引履歴も漏れなく把握し、合算して計算することを忘れないでください。
新株予約権付社債の特例
新株予約権付社債に係る新株予約権を行使した場合の判定
新株予約権付社債に付された新株予約権を行使して株式を取得した場合、短期保有株式等に該当するかどうかの判定では注意が必要です。
法人税基本通達3-1-4では、新株予約権付社債に係る新株予約権を行使して株式を取得した場合において、その株式を配当基準日等以前1月以内に取得したかどうかは、新株予約権の行使日ではなく、新株予約権付社債を取得した日によって判定するものとされています。
したがって、新株予約権付社債を長期間保有していた法人が、配当基準日の直前に新株予約権を行使して株式を取得した場合であっても、短期保有株式等の判定上は、原則として新株予約権付社債の取得日を基準に判定することになります。
信用取引にかかる配当落調整額の取扱い
配当落調整額の性質
信用取引において、配当の基準日をまたいで建玉を保有していた場合、買い方は配当落調整額を受け取り、売り方は配当落調整額を支払います。この配当落調整額は、名称に配当とついていますが、法人税法上は受取配当等としての性質を持つものではありません。実質的には、信用取引の売買代金の調整額として取り扱われます。そのため、配当落調整額を受け取ったとしても、受取配当等の益金不算入の適用を受けることはできません。
配当落調整額の見積りと差額の処理
信用取引にかかる配当落調整額については、法人税基本通達において収益又は費用の計上時期が明確に定められています。 信用買いをした法人が、配当落ちから株主総会が終了するまでの間に決済約定を成立させた場合には、まだ配当落調整額がいくらとなるかがその段階では確定していません。このため、適正に見積った金額で計算を行い、後日実際に配当落調整額の支払を受けたときに、その見積額と実際に授受した金額との差額があれば、その差額を授受する日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされています。
一方で、信用売りをした法人についても、配当落ちから株主総会が終了するまでの間に決済約定を成立させた場合には、いったん見積額を売付けに係る対価の額から控除して処理し、後日見積額と実際に授受した金額との差額が判明した時点で、その差額を授受する日の属する事業年度の損益として処理することになります。
| 信用取引の立場 | 決済時の処理(見積り) | 実際の授受時の処理(差額調整) |
|---|---|---|
| 信用買いをした法人 | 配当落調整額を適正に見積って計算を行う | 実際の授受日において、見積額との差額を益金又は損金に算入する |
| 信用売りをした法人 | 見積額を売付けの対価から控除して処理する | 実際の授受日において、見積額との差額を益金又は損金に算入する |



配当落調整額の見積り処理と後日の差額調整は、決算期をまたぐ場合に特に処理が漏れやすいポイントです。信用取引の明細書と実際の入出金を必ず照合し、確定した金額に基づく差額調整を忘れずに行うようにしてください。
まとめ
本日は、受取配当等の益金不算入額に関する実務上の留意点について解説いたしました。 名義株や名義書換失念株の配当は、実質所得者課税の原則に基づき、真の所有者が益金不算入の規定を適用することになります。また、新株予約権付社債に係る新株予約権を行使して取得した株式については、短期保有株式等の判定上、原則として権利行使日ではなく、新株予約権付社債の取得日を基準に判定する点に注意が必要です。さらに、信用取引の配当落調整額は受取配当等には該当せず、売買代金の調整として、見積り計算と差額調整を行う必要があります。



これらの論点は、日常の経理処理において誤りが生じやすく、税務調査でも細かく確認される部分です。正確な税務処理を行うためにも、取引の事実関係をしっかりと把握し、根拠となる書類を適切に保存しておくことが大切です。分からないことがあれば、いつでもご相談ください。

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